『DRAGON BALL』天下一武道会名勝負ベスト5

なんでもランキング

公開日:2016/11/30


 「国民的」を飛び越え、世界的人気を誇る『DRAGON BALL』(鳥山明/集英社)。現在のバトルマンガの礎を気づいたといっても過言ではないだろう。今回は、『DRAGON BALL』の中でも人気を誇る「天下一武道会」に注目したい。天下一武道会とは、3年に一度、世界中から武術の達人を集めて天下一を決める大会のことだ。武術の達人ばかりが集まるので、必然と戦いは熱くなり、名勝負が生みだされる。悟空とあの名物キャラクターたちの戦いも、この大会で生み出されてきた。天下一武道会の名勝負をランキング形式にしてまとめたので、さっそくご紹介していこう。

1位
悟空 vs. ピッコロ大魔王
ドラゴンボール 16
ドラゴンボール 16
  • 著者名:鳥山 明
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:432円

 堂々の1位は悟空とピッコロ大魔王の死闘。殺された父の敵を討ち、再び世界を征服するため、天下一武道会に現れたピッコロ大魔王。そのピッコロを倒すため、3年間修業を重ねた悟空。決勝戦でぶつかることになった2人の死闘は、『DRAGON BALL』の中でも屈指に入る。

 伸びる腕で悟空を捕まえようとするピッコロ。その腕をかわし、ピッコロを空中へ投げる悟空。負けじとエネルギー砲を打ち込むピッコロ…。息もつかせぬ戦闘の描写と、ピッコロの狂気的な表情が読者をぞくぞくさせる。

 この名勝負の魅力は、先の読めない展開にある。どんなに激しい攻撃を受けても立ち上がるピッコロ。そのしぶとさに「この先どうなるの!?」というワクワク感がかきたてられる。ページをめくる手が止まらなくなってしまうのだ。

「ゆ…ゆるせんぞ…!こ…このオレをここまで追いつめるとは…」

 追い詰められたピッコロは、最後の賭けに出る。ありったけの気を爆発的に放出し、大会が開かれた土地一帯を灰に変えようというのだ。追い詰められてしまった悟空。ピッコロに負けると、世界が恐怖で支配されてしまう…。果たして勝負の行方は?気になった方は本書でチェックしてほしい。

2位
悟空 vs. 天津飯
ドラゴンボール 11
ドラゴンボール 11
  • 著者名:鳥山 明
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:432円

 悟空のライバルであり、あらゆる敵と一緒に立ち向かってきた仲間でもある天津飯。その初登場は、天下一武道会だった。鶴仙人の弟子で、初めは悪役でもあった。ちょっと驚きだ。この勝負の見どころは、天津飯の葛藤だ。天下一武道会は、何も戦いだけではない。登場するキャラクターたちの成長も垣間見ることができる。これが2位にランクインした理由だ。鶴仙人の指示でチャオズが2人の勝負に邪魔をする。それを知った天津飯は、苦しい表情でこう言う。

「オレはもう…殺し屋にはなりたくない」

 ついに鶴仙人に逆らったのだ。師匠の言いなりで戦い続けていた天津飯が、人間として一皮むけた瞬間だった。

 気功砲で武舞台を消し飛ばした天津飯。地面に落ちるまでに決着をつけるしかなくなった悟空は、かめはめ波の推進力で天津飯に突撃。今回も悟空の優勝…と思われたが、不運にも、悟空は天津飯より一瞬早く地面に落ちてしまう。自動車にぶつかってしまったのだ。決着は、技では決まらなかった。運だった。天津飯が人間として一皮むけたからこそ、転がり込んだ勝利だったのかもしれない。

3位
悟天 vs. トランクス
ドラゴンボール 37
ドラゴンボール 37
  • 著者名:鳥山 明
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:432円

 セルを倒し、世界が再び平和になって数年後、久しぶりに天下一武道会が開かれることに。この大会は最終章へつながるので、ありったけのワクワクがつまっている。まず、死んだ悟空が1日だけ現世に戻ってくる。また、悟空が遺した2人目の息子悟天、ベジータの息子トランクスも大会に参加することに。さらに、トーナメントの組み合わせで「悟空vsベジータ」が実現!この「これからどうなるの!?」というワクワク感が3位にランクインした理由だ。

 悟天とトランクスには、とんでもない可能性が秘められていた。幼くしてスーパーサイヤ人になれるのだ。その戦いぶりは、子どもの頃の悟空の姿がかすんでしまうほど。さらに、幼いので戦っている姿が可愛い。ベジータも自然と親バカセリフを吐いてしまう。

「ざんねんだったな。どうやらオレの息子のほうが血統がよかったらしい」

 …まあ…あの可愛らしさならば、ベジータが親バカになるもの分かる。しかしベジータがこんなセリフを吐くのは見たくなかった…。

4位
セル vs. 悟飯
ドラゴンボール 34
ドラゴンボール 34
  • 著者名:鳥山 明
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:432円

 狂人的科学者ドクター・ゲロのコンピューターが生みだした怪物セル。セルの目的は、人造人間を吸収して完全体になること。それを阻止すべく悟空の仲間たちが奮闘していたが、ベジータの失態によってセルは完全体に…。いよいよ世界滅亡かと思われたが、トランクスから悟空の存在を聞かされ、一転、武道大会を開くことに。

 この大会の見どころは、2つある。1つは悟飯とセルの闘い。もう1つは、親として至らない悟空だ。悟飯に対する悟空の期待と態度を見て、「はっ」となった親御さんもいるはず。悟空は悟飯に秘められた力を見抜き、はじめからセルと戦わせる気だった。しかし悟空は、悟飯の気持ちを考えていなかった。悟飯は戦うことが嫌いなのだ。

「ボクの命よりフェアな男らしい勝負の方が大切なんだろうか…と…。忘れるな…!!実力はナンバーワンになってもあいつはまだ子供だ…!!」

 ピッコロに諭されて、ようやく気づいた悟空。この親のエゴを見事に描き出しているところが、セルと悟飯の戦い、そして悟空の死を大きく引き立てている。悟飯の活躍が目覚ましいが、悟空の親としての至らなさを差し引いて、4位とさせて頂いた。

5位
悟空 vs. 武天老師
ドラゴンボール 5
ドラゴンボール 5
  • 著者名:鳥山 明
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:432円

 第5位では、天下一武道会で一番の「迷勝負」をご紹介したい。初出場で決勝に進んだ悟空。そこで待ち受けていたのが、武天老師だった。師匠と弟子がぶつかり合う闘い。なんて熱い展開なのだ!

 しかし途中から勝負がゆるくなる。武天老師の酔拳に対抗するため、悟空は「狂拳」「猿拳」を披露。「ワンワン」「ウキーッ」と暴れまわる悟空。動物的狂気に押され気味の武天老師は、怪しい動きを始める。どんなすごい技が…と思っていると、悟空が突然眠り出した。そう、武天老師は「よいこ眠眠拳」を炸裂させたのだ。ゆるい…。

 このあと、大猿に変身した悟空を人間に戻すため、武天老師はかめはめ波で月を消し飛ばす。おおっ!さすが武天老師!しかし審判からこんなことを言われてしまう。

「これからお月見はどうしたらいいのでしょうか! もう月見だんごも食えません! 狼男も変身できません! 風情もくそもなくなってしまいました!」

 なぜだ? 月を消し飛ばした技より、お月見が大事なのか? かっこいい戦闘シーンが印象的なドラゴンボールだが、初期の天下一武道会では、ゆるゆる迷勝負が繰り広げられていた。

 いかがだろうか。読者に『DRAGON BALL』の魅力を再確認していただけたら幸いだ。最後に、私が気に入っているシーンをご紹介したい。それは第9巻の「クリリン vs. ドラキュラマン」の戦闘シーンだ。クリリンがドラキュラマンに頭を噛みつかれ、頭から出血する。怒ると髪の毛のように出血するクリリンは、何度見ても笑ってしまう。魅力を語れば話が止まらなくなる『DRAGON BALL』。みなさんは、どのシーンがお好きだろうか。

文=いのうえゆきひろ