がんばっている“から”うまくいかない。心屋塾人気カウンセラーによる「空回りせず幸せに生きる」方法とは?

暮らし

公開日:2016/12/5

『心屋流 戦わないで生きていく』(古庄由佳/PHP出版)

 メディアでも話題の“性格リフォーム心理カウンセラー”心屋仁之助氏の著作物は、累計300万部以上のベストセラーとなるほど定評がある。『心屋流 戦わないで生きていく』(古庄由佳/PHP出版)は、心屋氏が主宰する「心屋塾」の認定講師である、古庄氏が説く「幸せへの近道」を紹介した一冊。古庄氏(以下、通称として使われている「うさこ氏」で表記)は、17歳にして難病「網膜色素変性症」を患い、視覚に難を抱えてしまった。「不自由を抱えても一人前の幸せを手にしたい」と空回りをしながら生きてきたという。「なんでこんなにうまくいかないんだ!」と泣きたいような腹立たしさでどうしようもなくなっていたある日、心屋仁之助氏を知り、心屋塾の門を叩いたそうだ

がんばっている“から”うまくいかない

「こんなに頑張っているのに、なぜ結果がついてこないのだろう」。そう頭を抱えたことはないだろうか。この世のすべての人が体験したことのある苦悩と言っても過言ではい。うさこ氏は、広告やガイドブックを制作する会社に入社し、文字通り死ぬほど働いたという。

 しかし思うように結果は出ず、しまいには体を壊してしまった。「もっと他人から評価されたいのに、もっともっと良い人生を歩みたいのに、なぜ? どうして? 私の体は応えてくれないの?」。自分を責め続ける日々が続いた。ところが、これは裏を返せば、「何の役にも立てないなら、あんたなんかいないほうがいいのよ」と自分を脅迫して、いじめていることと一緒だという。うさこ氏は「網膜色素変性症」のせいで人よりできないことが多かった。だから人より頑張ろうと思った。しかしそれは間違いだった。「ない」自分を責めて、「ない」からこそ頑張る。それこそが幸せを遠ざけてきた原因だったのだ。うさこ氏が頑張っていたのは、できない自分を隠すため。だから頑張っても次第に空回りしていった。

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自分と仲直りする

 「自分と仲直りする」以前に、「自分とケンカしている状態」とは何だろうか。それは

「こうしなければ!」「こうならなくては!」と思う自分が、「本当はこうしたい」「本当はこうがいい」と思う自分を抑え込んでしまっている状態

 だそうだ。例えば「結婚したい」という女性がいたとしよう。しかし彼女は、親の意見に翻弄されて結婚を考えているだけで、本当は結婚がしたいのではなく、結婚で納得する親の顔が見たいだけだとしたら、どうだろう。彼女は自分にウソをついていることになる。そうすると、いくら結婚しようとしても、ウソの方向へ進むまいと、自然に自分で自分を止めてしまうそうだ。これではいくら頑張っても結果は出ない。うさこ氏は心屋氏からこんな言葉を聞いたそうだ。

「もっとまわりの人に助けさせてあげて」

 目が不自由なため、白杖を持ち歩いていたうさこ氏。しかし、恥ずかしくて人前で出せなかった。しかしある日、勇気を出して白杖を出してみた。周りの人は、うさこ氏を軽蔑しただろうか。いや、いつも通り接してくれた。前より優しくなった。白杖を見せたことで、うさこ氏は以前より人に頼りやすくなったそうだ。目の病気もあって、人に頼らずに生きていこうと決心し、努力してきたうさこ氏。しかし「本当は人に頼りたい」「助けてほしい」と思っていた。そのまんまの自分をさらけ出すことで、自分自身と仲直りすることで、今までよりはるかに生きやすくなったそうだ。

 「ストレス社会」「生き辛い世の中になった」など、なんだか気の滅入るような言葉をよく聞く昨今。私は以前から不思議に思っていた。嫌な気分になるのは、嫌な奴がいるから、のはずだ。しかし世を見ていると、多くの人々が毎日嫌な思いをしてストレスがたまっているように思う。つまり、お互いがお互いのことを嫌な奴と捉えているように感じてならない。日本人はそんなに嫌な奴ばかりなのか? それは違う。日本人全員に余裕がないのだと私は思う。忙しすぎるのだ。頑張りすぎているのだ。本書は、そんな日本人に「頑張るな」と助言を与えている。日本人はよく頑張っている。働きすぎだ。頑張りすぎだ。本書を読んで、もっと自分に優しい生き方をしてほしいと私は願う。

文=いのうえゆきひろ