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『ロンバケ』『ラブジェネ』『HERO』…女性たちが「月9」に恋したあの時代は何だったのか?

『月9 101のラブストーリー』(中川右介/幻冬舎)

「あなたが一番好きな『月9』は?」

 そう聞かれたら、どの作品を挙げるだろうか。

『東京ラブストーリー』、『101回目のプロポーズ』、『ひとつ屋根の下』、『あすなろ白書』、『ロングバケーション』、『やまとなでしこ』、『HERO』…どれも、最高視聴率が30パーセントを上回った人気ドラマだ。

 「月9」は1987年4月からフジテレビ系列にて 放映されたドラマをさす。ドラマに革命を起こし、一時は“月曜日の夜は街からOLが消える”と言われるほどの社会現象を巻き起こした。女優、俳優のみならず、主題歌を歌うミュージシャンにとっても「月9」はステイタスシンボルだった。

月9 101のラブストーリー』(中川右介/幻冬舎)は、放映開始以来30年経つ「月9」の歴史物語だ。本書は、代表的な「月9」のあらすじを辿り、創成期から地位の確立、全盛期、リニューアル、さらに、脚本家やヒロインとなる女優の変遷を、その当時の時代背景や流行とオーバーラップさせながら語る。読者は当時のドラマを思い出しながら、同時に自分の歴史を振り返り、ノスタルジーに浸ることができるだろう。

「月9」の共通点

 「月9」が全盛時代にもてはやされた理由はいくつかあるが、その中のひとつがヒロインの現実離れしたリッチでおしゃれな生活ぶりだ。ショールームのようなひとり暮らしの部屋に、人気スポットでの食事、そして到底普通のOLでは手が届かないような最新ファッションに身を包んでいる。そんな「月9」ドラマには、いくつかの共通した特徴があった。

・「職業を持つ女性」が主人公であること
・「現代の東京」が舞台であること
・「恋愛」が重要な位置を占めること
・数人ずつの男女が主人公の群像劇であること
・主人公たちの「親」と「故郷」と「過去」が出てこないこと
・スタジオでのセット撮影よりもロケが多用されていること
・主題歌があること
・衣装やロケ地がタイアップであること

時代のヒロインが生まれた瞬間

 本書には「月9」にまつわる様々なエピソードも取り上げられている。柴門ふみ原作の『東京ラブストーリー』では、鈴木保奈美が演じることとなる赤名リカは、もともと原作ではヒロインではなく、かなり特異で強烈なキャラクターだった。一方、有森也実が演じることになる関口さとみは頼りなげで男好きするタイプ。制作サイドは、当初どちらを主人公にするか迷い、主演女優として決まっていた鈴木保奈美に決断をゆだねた。彼女が選んだ方が自動的にヒロインとなる。

「何言ってるの(中略)『東京ラブストーリー』の主人公はどう考えてもリカじゃない」

 ひとりの女優の感性が時代と合致した、ひとりの女優が時代のヒロインとなることを宣言した瞬間だった。

 いつも、時代がヒロインを作り上げてきた。ドラマ低迷といわれる昨今、どのような姿が求められるのか。次のヒロインの登場に期待したい。

文=銀 璃子



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