世界一予約の取れない栄養療法士が教える「食べて美しくなる」ルール

健康・美容

公開日:2017/1/21


『世界一予約の取れない栄養療法士の「食べて美しくなる」10のルール』(アミリア・フレア/主婦と生活社)

「あなたは、あなたの食べたものでできている」という英語のことわざがある。私たちが口にした食べ物は心と身体、両方に影響を与えるというような意味だ。意訳すると、「健康は食にあり」となる。

 あからさまな病気というわけではないが、なんとなく調子が悪い。そんな経験をしたことのある人もいるのではないだろうか。なかなか疲れが抜けない、太りやすい、お腹を壊しやすいなど。西洋医学では、治療法が見つからない類の身体の不調だ。

 でももし、その原因が毎日の食事の中に潜んでいたとしたら?

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 私の身体を作っているものは、普段何気なく口にしている食べ物だ。果たして自分は、本当に身体にとって「よい」食事をとっているといえるのだろうか。

 そんな疑問を抱かせてくれる本が本書、『世界一予約の取れない栄養療法士の「食べて美しくなる」10のルール』(アミリア・フレア/主婦と生活社)である。

 近年、ビタミンやタンパク質の不足がうつ病の発症リスクを上げること、アルツハイマーと糖尿病の関連性など、栄養学・医学の分野ではさまざまな新常識が発見されつつある。ただこの分野では、欧米諸国の方が日本をはるかにリードしているようだ。もともと、ハーブなどを使った代替療法や自然療法が盛ん、ということもあるのかもしれない。イギリスには、「栄養療法士」といって、クライアントの健康問題を、食事指導だけで解決する専門職まで存在する。

 本書の著者アミリア・フレアは、多くのセレブを顧客として抱える人気の栄養療法士だ。その彼女が一般人向けに、自然栄養療法との付き合い方をわかりやすく解説したのが本書である。

 小麦や砂糖、マーガリンを使った製品、市販の加工食品など、私たちのよく行くスーパーマーケットやコンビニには、身体にとって要注意の食品がいっぱいだ。カフェインや乳製品、アルコールといった、ほどほどにお付き合いした方がよさそうなものもある。

 これらの食品は、依存性や謎の体調不良、肌荒れなどの原因になる可能性がある。いくら商品の箱に「ヘルシー」と書いてあっても、砂糖や添加物がたっぷり入っていては意味がない。私たちは口に入れるものに、もっと注意を払うべきなのだ。

 忙しいから、と手軽につまめるものばかり食べる。毎日のおやつが欠かせない。だらだら食べてしまう。食事の内容もさることながら、こうした食習慣にもご注意を。自分でも気づかないうちに、身体に負担をかけている可能性が高い。

 著者は、これまで自然栄養療法に馴染みのなかった読者向けに、この食事療法を実践する上で注意してほしい事柄を10のルールとしてまとめている。

 本当にお腹が空いたときに、新鮮で安全な食材で手作りした料理を、心の底から楽しんで食べること。本書を読むかぎり、自然栄養療法の核心はそこにあるように思われる。しかし言葉にするとこんなにもシンプルであるにもかかわらず、いざ実行するとなるとこれがすこぶる難しいのだ。

 例えば、自然栄養療法的には外食はまず間違いなくアウトだし、市販のお菓子や惣菜類に関してもほとんどのものは食べられない。現代に生きる我々は、不健康な食生活にどっぷりハマってしまいがちなのだ。著者自身そのことはよくわかっていて、「たった1つだけやめる」(Rule1)、「完璧であるより着実であれ」(Rule5)と語る。

 大切なのは、少しずつ、できるところから始めること。著者自身、もとはダメダメな食生活を送っていただけに、その発言には説得力がある。

 正直に言って、多くの人にとって本書のアドバイスを忠実に実行するのはかなりの困難を伴うだろう。でも1つだけ、あるいはできる範囲で取り入れることはできるのではないだろうか。今日の食事は明日の私の健康を作るもの。ほんの小さな努力であっても根気よく続けることで、確実に身体は変わっていくはずなのだから。

文=遠野莉子