男子3人の共働きママが教えてくれる「家事」の極意。時間に“追われない”方法とは?

生活

更新日:2017/2/27


『3人子持ち働く母の「追われない家事」』(尾崎友吏子/KADOKAWA)

 掃除をしてもまた汚れる。お皿を洗ってもすぐ使う。アイロンを掛けても袖を通したらハリが失われる…。気持ち良く健康で暮らすためには掃除・片づけ・料理は不可欠。ですが、家事はやってもやってもキリがなく、誰かが評価してくれるわけでもありません。

 家事がイマイチ得意じゃない、と感じるのは、家事が“非生産的”で“エンドレス”だからかもしれません。そんな家事への徒労感を覚える人に、ぜひ読んで欲しい一冊が『3人子持ち働く母の「追われない家事」』(尾崎友吏子/KADOKAWA)です。本書は、あなたの生活の質を高め、そして“生産性を高めてくれる”と断言します。

 著者の尾崎さんは、シンプルかつ丁寧な暮らしを発信する人気ブロガー。前著『3人子持ち 働く母の モノを減らして 家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)が大好評につき、第二弾が発売されました。前作は、ものをもたないミニマムなハウスキーピングがメインでした。今作は、さらに密度を増して、シンプルに満足度高く生きる“考え方”、そしてじっくりと味わえる食卓のつくり方をメインに紹介しています。

advertisement

家事をフレームワーク化

 3人の男の子と夫と5人で暮らす尾崎家は毎日がフル稼働。洗濯は1日2回、豚肉のしょうが焼きは一度に1kgを焼く、そして夫婦共働きをしています。けれどもあくせくすることなく、平日にゆっくりお茶を飲む時間もあるといいます。そして写真のとおり、ごちゃつくことがなく、美しい住居をキープ。特別お金持ちではない、普通のマンションに暮らしています。それなのに、なぜ我が家と違うのでしょうか?

尾崎さんのリビング。整然とした部屋に座椅子のみ置かれ、美学を感じます

 
1.優先順位を決めます

 自分がどんな暮らしをしたいのか、それが漠然としていると、日々家事に追われてしまいます。なにをすれば満足できるのか。優先順位を決めると、意外と自分の叶えたいことは少ないと気づくはずです。

尾崎さんは次のように考えたそう。

“私の場合、最も優先順位が高いのは、「子供がお腹がすくまでに食事を仕上げること」。手作りのお菓子やパンは、その次。”

 しかし、「やりたいこと」とは別に「やらなければならないこと」もあります。例えば掃除や洗濯。それらを無限にやる必要はありません。どのくらいのレベルでキレイになったと思えるのか。それを決めるだけで、やることは少なくなります。尾崎さんは、どんな暮らしをしたいのか、まず紙に書き出してみることをすすめています。

何に時間を費やしているのかを書き出し、どれくらい時間を割くのか整理します

 
2.「見える化」します

 続いて理想の暮らしを叶えるには、自分のリソースを目に見える形にすることです。「どの作業にどれくらい時間を掛けているか」。時間という限りある資源をどう使うのか。目に見える形にすると、無駄も見えてきます。また、「見える化」するのは、行動だけではなく、自分が持っているスキルも書き出して見ることが大切です。

 尾崎さんがスマホに入れて普段から目にしているのは、「調理法×素材のかけ算表」。どんな料理を作れるのか、素材ごと、調理法ごとに分けて表を作っておくと毎日の献立に悩むことはありません。家事のスキルを書き出せば、自分の行動を見直すきっかけにもなるのです。

自分のスキルを「見える化」すると、悩む時間も少なくて済みます

 
3.オペレーションを決めます

 掃除にしても、料理にしても「キリ」がないのが家事ですが、「平日の洗面台掃除は、ついでにアクリルタワシをかけるだけ」「土曜のお弁当はおにぎりのみ」など、「この日するのはコレ」と決めておけば、やり忘れることも、逆に深追いしすぎることもありません。尾崎さんは、平日の献立はある程度パターンを決めているそうです。

“月→週末に作った煮込み料理
火→丼
水→パスタ
木→ピラフ
金→焼きそば・カレー”

 それぞれのメニューが4種類あれば、ひと月に何度も同じ料理が食卓に出てくることはありません。もちろん、食べたいものや作りたいものがあればそちらを優先させます。上記はあくまで献立に迷ったときのためのもの。この曜日ごとのオペレーションと、前述した「調理法×素材のかけ算表」があれば最強。今夜のごはんは?…と迷うことがないばかりか、週末につくりおきもできます。

(Before)週末のつくりおきで月曜日は冷蔵庫がパンパン
(After)金曜日にはほぼ食べきり冷蔵庫はすっきり!

5人家族にしては小さい380Lの冷蔵庫を使用。一週間で食べ切れば食材管理の時短が可能に!

 

 家事は日々の繰り返し。であれば、日々のブレが少ない方が安定して運用できます。そう、家事とはまず自分の家にあった方法で軸となる日々のタスクを決めることだったのです。

ある日の夕ごはん。鶏ゴボウピラフ、棒々鶏サラダ、中華スープ。ピラフの具材は週末に下ごしらえ済みなので調理に時間が掛かりません

家事は生活の基盤、無駄のない方法を

 今まで多くの家事や料理の本が出されてきました。ですが、このように家事を体系化した本はあったでしょうか。「ていねいに暮らす」「美しく」「ナチュラルに」など漠然としか語られなかった世界に、この本は分かりやすく枠組みを与えてくれました。本書が他と一線を画し、家事を考える“軸”をたくさん教えてくれます。誰かの家の方法が、自分の家にも適するとは限りません。

 この革新的な家事のマニュアルは、とらえどころのなかった家事を理解する手助けになり、かつ自分の生きたい人生をかなえる手助けになるでしょう。

尾崎友吏子氏のブログ
小さく整う暮らし」(http://www.cozy-nest.net/)

文=武藤徉子