冴えないサラリーマンの食べる表情がエロすぎ!? グルメ漫画『めしぬま。』がネットで話題に!

マンガ

公開日:2017/2/8

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    『めしぬま。』(あみだむく/徳間書店)

 食欲をそそる料理や美味しそうに食べる表情を、これでもかと魅力的に描く料理漫画やグルメ漫画。昔からあるにはあるが、深夜アニメ等での人気もあってか、近年急速に増えている。そんな中、とあるグルメ漫画がちょっと違う方向に注目を集めている。pixivコミックで連載されている、『めしぬま。』(あみだむく/徳間書店)という漫画だ。

 Amazonレビューを見てみると、1月31日現在で73件の評価がついているが、そのうち48件が星1つ。「おいしい顔というより、気持ち悪い顔にしか見えません。」「気持ち悪すぎる。ホラーやサスペンス系を書いた方がいいのでは?」「数ある料理漫画でこれほど気持ちが悪い漫画は初めてでした。」「半目の主人公の飯を食う姿に虫唾が走る」と厳しい声が。あまり美味しそうに見えないとか、興味を引かれないとかいうレベルではなく、もはや強い怒りと嫌悪感を覚えているといった感想なのだ。そこまで気持ち悪いと酷評されている主人公は、一体どんな食べ方をしているのだろうか……?

 本作は、食べることが大好きな冴えないサラリーマン・飯沼が、ひたすら美味しそうに食べ物を口にするという内容。食べるシーン、特に飯沼の表情に非常に力が入れられており、作中では、飯沼がご飯を食べていると周囲の人間がドキッとして「かわいい」と頬を赤らめるなど、彼によって食欲を誘発されているように描かれている。

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 しかし、紅潮し、完全にゆるんだ表情は、食べている時のものとは思えない、エロさを前面に押し出したような表情。レビューにも、冴えないサラリーマンのそんな表情、見たくない……という意見が多数あった。しかも食べ物を前にした飯沼は、ヨダレを垂らし、汗をかき、ひどく興奮している様子。まるで、食べ物に欲情している変態のよう。たしかにこれは、好き嫌いがはっきりと分かれるかもしれない。

 だがこの漫画、読み続けていると謎の中毒性を発揮する。筆者も最初は、食べ方も美しくないし、こんな男のがっつく姿、ちょっと気持ち悪い……と思っていた。思っていたはずなのだが、「最初の3話くらいは読んでみよう」と読み進めているうちに、気づいたら最後まで読み切ってしまっていた。この飯沼の、内側から湧き出る欲求に素直な表情に見入ってしまうのだ。

 飯沼は要領が悪く、仕事が終わるのはいつも夜遅い。昼ご飯を食べられないこともしばしば。1話でも、上司に怒られ、昼ご飯抜きで遅くまで残業し、ようやくありつけたのがカツ丼だった。そんな中で食べるカツ丼なら、疲れた体に染み、あんな表情になってしまうのかもしれない。飯沼にとって「食」は、心身ともに癒してくれるものなのだ。そしてそれは、多くの人に当てはまることでもあるはず。

 きっと次巻以降の飯沼も疲れた体に潤いを与えるため、マイペースにエネルギーを補充していくのだろう。

文=月乃雫