人と話していて空気が悪くなった経験は? 知っておきたい「話すと危険な会話ネタ」

暮らし

公開日:2017/3/21

『話すと100%空気が悪くなる! 言ってはいけないゲス知識200』(日本博識研究所/宝島社)

 最近はあまり聞かなくなったが、一時期「KY」という言葉が流行した。ご存じの向きも多かろうが一応、説明をしておくと「KY」とは「空気が読めない」の略語である。要するに、場の空気が読めない人に対する嫌悪、あるいは非難が込められた言葉であり、決して相手を褒めているわけではない。『話すと100%空気が悪くなる! 言ってはいけないゲス知識200』(日本博識研究所/宝島社)によれば、人間は禁止されるほど興味を抱いてしまう心理を持つといい、それを「カリギュラ効果」と呼ぶ。そしてその知ってしまった「禁忌の知識」を、どこかでしゃべりたくなるのも人情というものであろう。こうして「KY」は量産されていったのだと考えられる。

 そんなワケで本書は、披露すれば場の雰囲気が悪くなるであろう「ネガティブ」な知識を200も取り揃えている。「KY」になる状況などいくらでもあるのだろうが、ここは個人的に「言ってしまいそうな」ネタをいくつか挙げて紹介してみたい。

ex.1:早朝ランニングは「心筋梗塞」を誘発する

 近年、健康ブームはすでに定着しつつあり、皇居の外周を走る「皇居ラン」もかなりの人気を誇っている。読者諸氏の周囲にも早朝ランニングを日課としている人がいるかもしれないが、そういう人にこのネタをぶつけると間違いなく「KY」確定。本書によれば「睡眠中、人間の肉体からはコップ1杯の汗が失われており、寝起きの体内は血液濃度が高くなっている。それに加えて、交感神経が正常に目覚めていないなかで走ると、急激に血圧が上がり、心筋梗塞のリスクが跳ね上がる」のだという。付け加えれば、この「ランニング健康法」を提唱したジム・フィックス氏も、ランニング中の心筋梗塞で亡くなったのだとか。まあリスクも潜んではいるのだろうが、正しい知識のもとで行なうランニングは有益であることも間違いない。案外こういうリスクを教えてあげることで、危険を回避させられるという考えかたもできそうだ。

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ex.2:留学後の夏目漱石は「DV」ばかりの狂人に

 夏目漱石といえば「文豪」として名高い人物であり、その作品は教科書にも採用されるほどの名作揃いだ。当然ファンも多く、そんな人の前でこのネタを出そうものなら、殴り合いに発展してもおかしくはない。しかし実際、元々重度の神経衰弱だった漱石がイギリス留学中にその症状を悪化させたことは確かなようだ。以後「幼い長女が火鉢の前に座っていると、突然殴りつける。理由を聞くと、火鉢のふちに五厘銭が載っているのを見て、ロンドンで頭に来たことを思い出したから」というような、理不尽なDVを繰り返したという。いわゆる「偉人」のスキャンダラスな実像を語ることは、それが事実であっても場の空気を悪くしてしまう可能性が高いことは覚えておくべきかもしれない。

ex.3:化粧品の実験にはウサギの「眼球」を使う

 意中の女性と出かける展開は男にとって理想だが、まかり間違ってもそんな席でこのような話題を出してはならない。出せば一瞬ですべてが終わる。まあそれはともかく、化粧品の実験にはよくウサギが用いられるのだという。本書曰く「ウサギを拘束器具に繋ぎ、その目に試験物質を点眼して最大14日間の観察を行う。ウサギが選ばれるのは涙腺が発達していないので涙を流すことがなく、点眼した薬物がいつまでも目に入った状態となるので都合が良いという理由から」。小動物を使った残酷実験は、やはりネタにするには難易度が高いといわざるを得ず、どのような状況においても注意が必要だろう。

 日本人はとにかく「場の空気」には敏感な民族。「和を以って貴しと為し」と、飛鳥時代の憲法にも明記されるほどである。「KY」なんて言葉が生まれるのも、そんな国民性が影響していることは疑いない。話題のネタは多く持っているに越したことはないだろうが、やはり「ヤバそうな話題」はTPOを考慮した上で用いるようにしたいものだ。

文=木谷誠