アニメ放映を前に、三角関係の恋の行方は? 想いがますます混線する『覆面系ノイズ』最新12巻!

マンガ

公開日:2017/3/20


『覆面系ノイズ』(福山リョウコ/白泉社)

 11月に公開される中条あやみ主演での実写映画にくわえ、4月クールよりTVアニメがスタートするマンガ『覆面系ノイズ』(福山リョウコ/白泉社)。1人の少女の歌声をめぐって2人の少年が火花を散らす、高校生たちのバンド青春物語の最新12巻が3月20日に発売された。

 主人公の有栖川仁乃(以下、ニノ)は歌うことが大好きな女の子。初恋の少年・モモが、突然姿を消してしまって以来、モモの残した「もし会えなくなっても いつかお前の歌を目印にして会えたらいいよな」という言葉を胸に歌い続けている。そしてモモと入れ替わりに彼女の前に現れた、もう一人の少年・ユズ。彼がつくる歌にニノは魅了されるのだが、彼もまた突然姿を消してしまう。「もしどこか遠くにいたら見つけ出してあげてもいい きみの声 見失うわけないから」と言い残して……。

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 物語はこの3人が、奇しくも同じ高校で再会するところから始まる。いつかニノに再会したときのためにユズがつくった「in No hurry to shout(通称・イノハリ)」――全員が眼帯覆面の正体不明バンドに、ニノはヴォーカルとして参加することになるのだが、いちばん歌声を届けたいはずのモモは、なぜかニノに冷たく当たる。しかもすでにプロの作曲家として活動しているモモは、ライバルバンド「SILENT BLACK KITTY(通称・黒猫)」をたちあげてしまうという、なんとも複雑な三角関係に。

 読みどころはなんといっても、ニノをめぐるユズとモモ、2人の少年のライバル関係。この2人、見た目や性格はさておき境遇が非常によく似ている。

 どちらも作曲家で、ニノの歌声(と本人)にベタ惚れしており、音楽を続ける障壁に「母親」がいる。モモは借金苦のせいで、ニノのためだけにつくった音楽を金に換えなければならなくなり、母親に金づる扱いされるように。ユズは、音楽家の父が演奏旅行の途中で亡くなったせいで、母親から音楽をとりあげられたあげく、歌うことができなくなった。さらには2人とも、そんな自分の境遇にニノを巻き込むまいと必死。超健気な両者なのだが、どちらかというと、幼いころからモモへの想いを聞かされまくってるユズのほうがやや憐れ。

 ところがユズも一筋縄ではいかない。11巻で紆余曲折を経てついにニノと恋人同士となったモモに「アリス(ニノ)はいつか絶対に僕だけのものにする」と堂々宣言したあげく、姿を消してしまうのだ。最新12巻はそんな彼の不在で戸惑うイノハリの面々の様子から始まるのだが、ここへきてニノの想いに変化があらわれはじめている……予感!

 過去にユズのことを「恋よりももっと大事かもしれない」と言ったニノだが、ユズへの想いがモモに対するそれと比べてどうなのか、本人もまだわかっていないような気がする。もちろん12巻では、別離の期間をとりもどすようにところかまわずいちゃつく2人に読みながら赤面させられること多数なのだが(モモのニノへの溺愛ぶりがはなはだしくマジで照れる)、「人生をずっとともにいる異性」が、そのときめきを抱く相手かどうかはまた別の話。

 モモへ想いが届いた今、渇望を失ったニノが次に歌声を届けたい相手は誰なのか。彼女はなんのために歌っていくのか。その迷いの答えが今後の物語のカギを握るはず。アニメ、映画とともにますます盛り上げる本作の行方を追いかけていきたい。

文=立花もも