映画『麒麟の翼』いよいよ公開! 東野圭吾を初めて読むならこの本 ベスト5

更新日:2013/8/14

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ダ・ヴィンチ1月号特集「BOOK OF THE YEAR」の“好きな男性作家ランキング2011”で2年連続1位に輝いた東野圭吾さん。米ミステリー作家協会の「エドガー賞」候補にノミネートされ、原作映画『麒麟の翼』もいよいよ今週末に全国公開されるけど、「実はまだ東野作品を読んだことがなくて…」なんて人もいるのでは? そこで今回は、ダ・ヴィンチで東野さんの記事を書かせたら右に出る者はいない、ライターの大矢博子さんに、初心者にオススメの作品ベスト5を紹介してもらったラコよ!
 

 
無数の引き出しを持つ作家・
東野圭吾のいろんな顔に出会えるベスト5

  
  

「クールな人情派」加賀恭一郎をまず押さえるべし!
 

 

1位紙『新参者』

講談社 1680円
東野圭吾のキャリアの中で最も長く活躍し続けているシリーズキャラが加賀恭一郎だ。なんと初登場は1986年で、当時の加賀はまだ熱血大学生だってんだからビックリ。そして今、大人になった彼は刑事として日本橋にやってきた。煎餅屋の一家、小料理屋の夫婦、時計店の親子…何気ない日常の中に潜む小さな嘘や隠し事を、冷静な、そして暖かな目で解いていく加賀に痺れること請け合いだ。ミステリとしてはテクニカル、ドラマとしては人情物、主人公はカッコいい。…どこに欠点がある? 本書を拠点に加賀シリーズをさかのぼるのも一興。

(=・오・=)<これを読めば映画もバッチリラコ!

  

直木賞受賞、ミステリランキングオール1位の代表作
 

 

2位紙『容疑者Xの献身』(文春文庫)

文藝春秋 660円
加賀が情を汲み上げるなら、理を尊ぶのが物理学の准教授、ガリレオこと湯川学だ。湯川が学生時代に唯一天才と認めた数学者、石神。その旧友が筋書きを書いた事件の謎に湯川が挑む。天才同士の、論理と論理のぶつかり合い。思考の底で静かに燃える友情と愛情。頭と心の両方が震えまくりだ。何はなくともこれは読んでおこう。おっ、今、本書がMWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞にノミネートされたというニュースが飛び込んできたぞ。すごいすごい。物理は世界共通、ガリレオは海の向こうにもファンを増やしているらしい。祈・受賞!

(=・오・=)<実に面白い!(湯川の決めセリフラコ)

  

今だからこそ敢えて読みたい、原発が舞台のサスペンス
 

 

3位紙『天空の蜂』(講談社文庫)

講談社 880円
初期の傑作をひとつあげろと言われたら、迷うことなくこれを推す。「日本中の原発を即刻使用不能にせよ。さもなくば爆発物を積んだ超大型ヘリを高速増殖炉に墜落させる」──テロリストが政府を脅迫。しかし犯人にも誤算が。なんとそのヘリには子供が乗っていた! 煮え切らない政府、刻々と減っていくヘリの燃料、犯人探しと子供救出に全知能を傾ける現場。読みながら緊張と興奮で手汗はかくし口の中は乾くし。不安を煽るのではなく、冷静な問題意識を持たせてくれる社会派サスペンス。1995年の作品だが、今こそ読んでほしい作品だ。

(=・오・=)<原発、今読むと深みが増すラコね

  

技巧と企み、闇と虚無に満ちた、東野ノワールの金字塔
 

 

4位 紙『白夜行』(集英社文庫)

集英社 1050円
主人公の心の中がまったく描かれない小説なんて、あると思う? あるんだな、これが。主人公は一組の男女。子供の頃にある事件がきっかけで強く結びついた二人は、その後いろいろな犯罪に手を染めていく。しかしそれらがすべて他人の目線で語られるってのがポイント。二人が何を考え、何を目指しているのか、読者は多くの語り手たちと一緒に、彼女達を観察することになる。ときにはそれが彼女たちの仕業だと気づかずに終わることも…。怒濤にして緻密な展開と全編を覆う闇の濃さは小説ならでは。ドラマや映画だけで満足してちゃもったいないよ!

(=・오・=)<こんなに見られるとゾクゾクするラコ

  

くだらねえ~~~と腰が砕けるお笑いパロディ短編集
 

 

5位 紙『名探偵の掟』(講談社文庫)

講談社 620円
とは言うもののさあ、ミステリなんて、所詮はご都合主義の絵空事じゃん? 密室なんて七面倒くさいこと、ホントにやる犯人なんていなくね? なんで断崖絶壁に来たらみんなペラペラ自供するわけ? だったら取調室に断崖作れば? ──そんなふうに冷めた目でミステリを見てるキミにこそ読んで欲しい、ミステリの「お約束」をけちょんけちょんに笑い飛ばした短編集。痛快だぞー、笑えるぞー。ところが不思議なことに、コアなミステリ好きに本書のファンが多いという事実。これは、あれか、好きな子ほど虐めたいってヤツか!

(=・오・=)<ある意味自虐ギャグラコね!

  

 
映画『麒麟の翼~劇場版・新参者~』は1/28(土)より全国公開!
 
 
 
原作/東野圭吾『麒麟の翼』(講談社) 監督/土井裕泰 出演/阿部 寛、新垣結衣、溝端淳平、松坂桃李、田中麗奈、中井貴一ほか 配給/東宝 2012年1月28日(土)全国東宝系ロードショー
●東京・日本橋の名物「ツバサのある麒麟像」の下で、男が息絶えた。彼はなぜ、腹部にナイフが刺さったまま日本橋まで歩いてきたのか? 日本橋署刑事の加賀恭一郎が、事件の裏に潜む壮大な人間ドラマに迫る──。東野圭吾の〈加賀恭一郎〉シリーズは、『新参者』が連続テレビドラマ化(2010年)。本作はシリーズ最新作にして、初の劇場版。
©2012映画『麒麟の翼』製作委員会
 
【まとめ】東野作品ベスト5、いかがでしたか? 東野さんはとにかく引き出しが多くて、社会派サスペンスから、ガチガチの本格ミステリから、お笑いから、すご~く幅が広いんだよね。この5冊をこの順に読んでいけば、東野ワールドの幅広さを味わえる上に、それぞれのジャンルの最高傑作を堪能することができるよ! 他にもベスト5を紹介して欲しい作家さんがいたら、@bookrakoまでよろしくラコ!

(ぶっくらこ調べ)