JUJU、処世術を学んだバイブルを紹介

芸能

更新日:2012/3/5

「私、子供の頃は結構ニヒルでしたよ。ちょうど、この『バカ姉弟』に出てくる弟みたいに(笑)」
 東野圭吾原作の映画『麒麟の翼』の主題歌『sign』をはじめ、さまざまなヒット曲を世に送り出してきたJUJUさん。自分に似ている感じに惹かれて、マンガ『バカ姉弟』にハマったという。

 物語の主人公は、東京の下町・巣鴨に住む3歳の双児の姉弟。仕事で不在がちな両親に代わって彼らの面倒を見るご近所さんたちが、自由奔放な姉弟の行動に翻弄されてしまう。「でも、ギャグマンガという言葉だけでは片付けられない深さが、この本にはあるんです」とJUJUさんは力説する。

 「姉弟の、何を考えているのか分からない得体の知れなさや、それに振り回されながらも二人のことを構わずにいられない大人たちの心情。そういったいくつもの描写が全ページにギュッと凝縮されているんです。それに、ズルい大人たちに騙されることなくたくましく生きる姉弟の姿には感動すら覚える。もう、私にとってこの本は、処世術を学ぶ教典だと言えますね(笑)」

 初めて手にしたのは6年前。以来、「心のささくれができると必ず読み返す本」になっているそう。
 元来、本好きで、小説は気になる作家の新刊を目ざとくチェックする。その中には、彼女が主題歌を担当した映画『麒麟の翼』の原作もあった。

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 「東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズは大好きで、ドラマも見てました。それだけに、オファーをいただいた時は、ビックリしたと同時に嬉しかったです」

 今までにも多くの主題歌を手掛けてきた彼女。その過程では、必ずあるルールに沿って曲が作られてきた。それは、スタッフ全員が原作を読むということだ。
「みんなが本好きだっていうのもあるんですけどね(笑)。でも、物語を知っているのと、知らないのでは全然違うと思うんです。『麒麟の翼』については、私は以前に読んでいたので、『あの号泣した作品だ!』ってすぐに思い出しました」

 レコーディングでは登場人物たちが抱える切なさを想いながら歌ったという。
「でも、あくまで語り部的な役割で歌詞を表現したかったので、感情を出し過ぎないように気をつけました。これは私が歌う曲すべてに共通していえることですね」

(ダ・ヴィンチ3月号 あの人と本の話より)