『俺妹』などを手掛けた編集者語る ラノベ絵師の発掘法

マンガ

更新日:2012/3/27

 ライトノベルの特徴は言うまでもなく、文章に絵をつけるイラストレーター=絵師の存在。文章とキャラクターが一体化した本作りを成立させる独特のイラストは、どのように生まれるのか。ダ・ヴィンチ4月号の「走れ! トロイカ学習帳」では、北尾トロ氏がラノベを手がけること11年の電撃文庫、三木一馬副編集長に絵師の存在感について聞いてみた。


ライトノベルの知られざる歴史

 絵師について訊ねると、三木さんは「著者とともに作品を支える両輪」と即答。

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 絵のうまさや女の子が可愛いことは大前提で、より作品に合った、これしかないキャラを生み出せる絵師を日夜探しているという。イラストの良し悪しはラノベの生命線。まずビジュアルで手に取らせ、作品の魅力でシリーズのファンになってもらう。人気ジャンルになってからは小説賞への投稿者も多く、著者探しはラクになったが、絵師は違うそうだ。

 三木さんは自らコミケに足を運び、これはと思う描き手を直接口説く。彼らの特徴は絵を描くのが好きでたまらないこと。物語を作るより、とにかく絵。そのためだったら時間も手間もたっぷりかける。裾野は膨大に広がり、トップレベルの実力は高い。業界ずれもしておらず、文章に真剣に向き合い、互角に渡り合うのだ。絵師とは言い得て妙である。  

 すでにプロとして活躍している人や、ネームバリューに頼ったチョイスはしない。発掘したい。発掘した絵師に、読者の予想を超えるイラストを描かせたい。時にはわざと違和感のあるイラストを使い、勝負をかけることもある。
「期待通りでは駄目なんです。期待以上のものであれば読者は喜んでくれます」 (三木さん)

(ダ・ヴィンチ4月号 北尾トロ「走れ! トロイカ学習帳」より)

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