スカイツリー開業! 東京今昔ものがたりランキング

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/27

 いよいよ5月22日に開業する東京の新名所「東京スカイツリー」。今月は、東京スカイツリーにちなんで、「東京今昔ものがたり」ランキングをお届け。今月のその道のプロは、マンガ評論家で『「はとバス」六〇年――昭和、平成の東京を走る』の著者でもある中野晴行さん。作品に描かれた東京の町並みを散策しよう!

ランキングは下記の通り。

■1位 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1~179巻) 秋本 治 集英社ジャンプC
破天荒な警察官・両津が、下町で大暴れするギャグマンガ。東京のランドマークや歴史、下町文化などが物語の中に度々登場する。連載開始は1976年。超長寿作としても有名。

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■2位 『東京の江戸を遊ぶ』 なぎら健壱 ちくま文庫
江戸時代の流行や遊びを、下町育ちのフォークシンガー・なぎら健壱がアウトドアホビー風にアレンジ。実際に挑戦する様子がリポートされる。下町っ子らしい軽妙な文体も面白い。

■3位 『キャンティ物語』 野地秩嘉 幻冬舎文庫
多くの芸術家、著名人が通った、港区に実在する名物レストラン・キャンティの記録。選者の中野氏は「東京には才能が集まる場所が多くある。キャンティはその代表格」と語る。

■4位 『巷談 本牧亭』 安藤鶴夫 河出文庫
“あんつるさん”の愛称で知られた演劇評論家・安藤鶴夫による直木賞受賞作。上野にあった寄席・本牧亭に集まる講談師や落語家たちの昭和30年代の様子がいきいきと描かれる。

■5位 『フーテン』永島慎二 まんだらけ
物語の舞台は、ジャズと深夜喫茶全盛の60年代新宿。フーテン生活の経験がある作者本人がモデルの主人公・長暇貧治や、その仲間たちのフーテン生活がリアルな傑作マンガ。

■6位 『愉楽の銀座酒場』太田和彦 文藝春秋
タウン誌『銀座百点』で、06年から08年に連載されたエッセイ「銀座の酒場を歩く」が一冊に。様々なタイプの73軒が登場。中野氏は「読めば銀座に行きたくなる!」とコメント。

■7位 『築地魚河岸三代目』(1~34巻) はしもとみつお/作画 大石賢一/原案協力 鍋島雅治、九和かずと/原作
小学館ビッグC
魚に関して素人だった元銀行員の旬太郎が、築地の仲卸の3代目に。困難を乗り越え、一人前になっていく旬太郎の様子が痛快な人気マンガ。主人公と一緒に築地に詳しくなれる。

■8位『東京の小さな喫茶店・再訪』常磐新平 リブロアルテ/発行 メディアパル/発売
人々から愛される、街の小さな喫茶店に焦点を当てた作品。心が温まるエピソードが詰まっていて、喫茶店の存在を通じて、東京の歴史や、そこに生きる人々の姿が浮き彫りに。

■9位 『東京暮らし』 川本三郎 潮出版社
評論家・川本三郎が、昭和20~30年台の町並みを求めて東京を散策。過去に発表された、東京に関するコラムが一冊に。裏路地には、懐かしい景色が多く残っていることがわかる。

■10位 『「はとバス」六〇年 昭和、平成の東京を走る』中野晴行 祥伝社新書
はとバス誕生の経緯や過去の人気コースをたどることで、昭和から平成にかけての東京のあゆみが明らかに。東京がどんな街なのかが見えてくる。ランキングの選者・中野氏の著作。

取材・文=澤井 一
(ダ・ヴィンチ6月号 「その道のプロに聞く! ダ・ヴィンチなんでもランキング」より)