「2012年上半期BOOK OF THE YEAR」小説部門第1位は?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 『ダ・ヴィンチ』7月号では、「2012年上半期BOOK OF THE YEAR」(※)をジャンル別に発表。小説部門の第1位に輝いたのは、日本ラブストーリー大賞出身の原田マハの新境地ともいえる美術小説『楽園のカンヴァス』(原田は本作で第25回山本周五郎賞も受賞)。ルソーという謎の多い画家の生涯に迫ったミステリーで、原田は作家以前に美術関係の仕事に就いていたことがあり、いつかはルソーを何かの形で表現するだろうという予感を抱いていたそうだ。ランキングは以下のとおり。

■1位 『楽園のカンヴァス』原田マハ
■2位 『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子
■3位 『くちびるに歌を』中田永一
■4位 『PK』伊坂幸太郎
■5位 『晴天の迷いクジラ』窪美澄
■6位 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
■7位 『謎解きはディナーのあとで 2』東川篤哉
■8位 『曾根崎心中』角田光代
■9位 『限界集落株式会社』黒野伸一
■10位 『かわいそうだね?』綿矢りさ
■11位 『震える牛』相場英雄
■11位 『夢違』恩田陸
■13位 『パラダイス・ロスト』柳広司
■14位 『共喰い』田中慎弥
■15位 『紙の月』角田光代
■16位 『道化師の蝶』円城塔
■17位 『ジェントルマン』山田詠美
■18位 『三匹のおっさん ふたたび』有川浩
■19位 『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤
■20位 『百鬼夜行 陽』京極夏彦
■次点 『蜩ノ記』葉室麟

第2位『すべて真夜中の恋人たち』は先鋭的な作品群で知られる作者が恋愛小説に正面からとりくんだ意欲作、第3位『くちびるに歌を』は本屋大賞候補にもなったエンターテインメントの正道をいく爽やかな青春小説、第5位『晴天の迷いクジラ』はデビュー作でいきなり山本周五郎賞を受賞した新鋭の第2作だ。ほか、6位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(東野圭吾)、7位『謎解きはディナーのあとで 2』(東川篤哉)、11位『夢違』(恩田 陸)、13位にスパイ小説の側面も持った『パラダイス・ロスト』(柳広司)など、ミステリーが多数ランクイン。ミステリー人気はまだまだ続きそうだ。

※アンケートは、全国の書店員にアンケートを実施。2011年10月1日~2012年4月6日に発売された書籍の中から、売れ行きもよく、内容的にも自信を持ってオススメできるという基準で、各ジャンルごとにベスト5をあげてもらった。のべ800店を超える書店から寄せられた回答をもとに集計。上位作品の中から各ジャンル別の委員会のメンバーが自らのベスト5を選出し、順位別に傾斜をつけて投票、書店員からの得票に合計してランキングを作成した。

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(ダ・ヴィンチ7月号 「2012上半期 BOOK OF THE YEAR」より)