「2012年上半期 エッセイ・ノンフィクション部門第1位」は、いまも残る大阪の遊郭を描いた作品

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 『ダ・ヴィンチ』7月号にて発表された「2012 上半期BOOK OF THE YEAR」。そのエッセイ・ノンフィクション部門第1位に輝いたのは、『さいごの色街 飛田』。女性である著者が12年の取材期間を費やして、大阪の遊郭地帯を丹念にレポートした渾身のノンフィクションだ。本ジャンルのランキングは以下のとおり。


■1位 『さいごの色街 飛田』井上理津子

■2位 『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』河北新報社

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■3位 『あんぽん 孫正義伝』佐野眞一

■4位 『采配』落合博満

■5位 『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』水谷竹秀

■6位 『はげましてはげまされて 93歳正造じいちゃん56年間のまんが絵日記』竹浪正造

■7位 『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

■8位 『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』みうらじゅん、リリー・フランキー

■9位 『できることをしよう。ぼくらが震災後に考えたこと』糸井重里、ほぼ日刊イトイ新聞

■10位 『無菌病棟より愛をこめて』加納朋子

■次点 『父・金正日と私 金正男独占告白』五味洋治

2位『河北新報のいちばん長い日』と7位『仙台ぐらし』はともに震災を描いているが、前者が震災そのもののルポであるのに対し、後者が仙台在住の作家・伊坂幸太郎による身辺雑記だという点に大きな差がある。組織の被災と個人の被災。9位『『できることをしよう。』が持つ被災地外部からの視点も含め、どれもが残されるべき記録だ。

(文=門賀美央子、ダ・ヴィンチ編集部)

※アンケートは、全国の書店員にアンケートを実施。2011年10月1日~2012年4月6日に発売された書籍の中から、売れ行きもよく、内容的にも自信を持ってオススメできるという基準で、各ジャンルごとにベスト5をあげてもらった。のべ800店を超える書店から寄せられた回答をもとに集計。上位作品の中から各ジャンル別の委員会のメンバーが自らのベスト5を選出し、順位別に傾斜をつけて投票、書店員からの得票に合計してランキングを作成した。

(ダ・ヴィンチ7月号 「2012上半期 BOOK OF THE YEAR」より)