一貫した乙女路線で10代と『りぼん』世代を鷲掴む『別マ』

マンガ

更新日:2012/7/9

 雑誌離れが進み、話題作を単行本でチェックする読者も多い今日。そんな今だからこそ、雑誌回帰への各誌の取り組みが面白い。

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 『ジャンプ改』や『もっと!』など、ジャンル横断的に作家を集めた雑誌の創刊、既存雑誌のリニューアル(『コーラス』→『Cocohana』がドラスティックな例)もさることながら、『週刊少年サンデー』のAKB48とのキスが疑似体験できる“匂い付き写真”など、一風変わった付録企画もめざましい。
 
 こうしたなかで雑誌回帰に成功しつつある媒体といえば、話題作『君に届け』『アオハライド』『俺物語!』が連載される『別冊マーガレット』が挙げられる。人気の理由として、10代の対象読者だけでなく、大人の女性を惹き付けたことは大きい。激しい性描写はなく達観した恋愛観もない、一貫した乙女路線をひた走る『別マ』は、大人の読者にとってはもちろん等身大ではない。しかし、1980~90年代に「乙女ちっくマンガ」路線で一世を風靡した『りぼん』の洗礼を受けた世代にとっては、その薫陶が香る読み心地で、青春の記憶を反芻させられる。ぶれない姿勢で2つの世代を鷲掴みする『別マ』に雑誌を買う楽しみを思い出した人も多いはずだ。

文=倉持佳代子
(ダ・ヴィンチ8月号「出版ニュースクリップ」より)