ジョン・アーヴィングがあのヘミングウェイを批判!?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 オバマが同性愛婚を認めたタイミングとも相まって、バイセクシュアルの主人公を扱うジョン・アーヴィングの新作が話題を集めている。

そのアーヴィングがインタビューに応じた、NYタイムズ電子版記事がおもしろい。ディケンズへの崇拝で有名な人らしく、自分の人生を変え、作家を志すきっかけとなった本として『大いなる遺産』の名を挙げる。本については、「ゆっくりと読む」アーヴィングだが、気に入った本は再読をし、物語の構造がどうなっているかを見るとか。

逆に失望させられ、過大評価されていると感じるのが、あのヘミングウェイ作品。経験に基づく執筆、タフガイ的なイメージ、平易さを求める文章表現。そんな理由から、いくつかの短篇以外はどれも気に入らないと辛口な評価を下す。「好きと思う作家は会うより、その人の本を読む方がいい」と答えるアーヴィング。自宅を何度か訪ねて、アーヴィングに直接インタビューした経験を持つ筆者としては、そうだったのか、と思うのでありました。

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文=新元良一
(ダ・ヴィンチ8月号「出版ニュースクリップ」より)