村上春樹との共通点? 「ジョジョ」と若者たちの時代性

マンガ

更新日:2021/6/23

 1987年の連載開始から、根強い人気を保ち続けるマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』。7月6日発売の『ダ・ヴィンチ』8月号では、表紙にマンガ家・荒木飛呂彦を迎えて同作品を大特集。

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 実は「ジョジョ」が生まれた1987年は、村上春樹『ノルウェイの森』の誕生した年でもあり、どちらも四半世紀を超えて読まれる名作。同誌では、『王様のブランチ』でコメンテーターを務める批評家・市川真人氏が、作品のもつ時代性を分析し、寄稿している。

 「血族の物語」として書き継がれる『ジョジョの奇妙な冒険』には、25年間の日本文化史が、作品そのものと読まれ方との両面で刻み込まれている。
 第1部が描かれたのは、日本が「バブル景気」に踏み込んだ頃。ゴッホの『ひまわり』が53億円で落札され、「Japan as No.1」が叫ばれ始めた時代だ。頂点を究めた時代の気分の中、19世紀のイギリスの高貴を描いた『ジョジョの奇妙な冒険』は、ヨーロッパに憧れた明治以来の日本の伝統を受け継いでいた。夏目漱石のロンドン留学が1900年だから、ジョナサンが生きたイギリスはほぼ同時代。彼の背中は、漱石の時代の日本人がまぶしく仰ぎ見たそれだった」(市川真人氏)

 また市川氏は、1988年のマイケル・ジャクソン来日やバブル崩壊からオウム事件、阪神淡路大震災などを例に出し、作品に描かれる主人公たちの姿、その時代を生きる若者たちへの影響などを鋭い切り口で分析している。

(『ダ・ヴィンチ』8月号「『ジョジョの奇妙な冒険』連載25周年 JOJO=JAPAN」特集より)