なぜ“いくえみ男子”がモテるのか?

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更新日:2012/12/12

 みなさんは“いくえみ男子”をご存知だろうか?
いくえみ綾が描くマンガに登場する男の子キャラをそう呼ぶのだが、“いくえみ男子”にはいくつかの共通点がある。

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 ルックスは、いま流行りの“塩顔男子”。一重か奥二重で唇が薄い。色白でスラリとした体型に、フェイスラインからのどにかけてのラインがシャープ。無造作ヘアでオシャレすぎない脱力系ファッション。芸能人でいうと、瑛太やBUMP OF CHICKENの藤原基央、くるりの岸田繁、奥田民生などミュージシャン系と似ているともいわれる。

 しかし、この“いくえみ男子”人気の理由は、ルックスだけではない。一見、草食系男子かと思いきや、中身は肉食でいざというときは決めてくれる“ロールキャベツ男子”であることもポイントが高い。

 『潔く柔く』(集英社)の真山が言った「レンコンのきんぴらより好きだよ」という不器用な愛情表現や、愛想が悪く無口な梶間が言った「犬 見に来ます?」というセリフ。ふだんはクールで無愛想だが、飾りすぎない言葉やチラ見せするやさしさにキュンとくる。あるいくえみファンの30代女子によると、少し屈折していたり内面では実はもやもやと悩んでいたりするところもいいとのこと。「繊細で自分の心の内側もわかってくれそうだし、同じように悩みを抱えているというのは王子様みたいな遠い存在じゃなく安心できる」(同30代女子)。

 そう、“いくえみ男子”人気の最大のポイントは、王子様じゃないこと。「カッコいいけどまわりにいてもおかしくない」と感じさせることだろう。オシャレすぎないファッション、飾りすぎない言葉、等身大の悩み……だからこそリアルで、日常でも出会えそうな気持ちにさせてくれる。白馬の王子様を夢見るほどの妄想力はないリア充女子にとって、“いくえみ男子”は日常と地続きの夢を見させてくれる存在なのだろう。

 そんな“いくえみ男子”が登場する新作『トーチソング・エコロジー』(幻冬舎)が人気のようだ。5月24日に単行本の1巻が発売され『スピカ』(幻冬舎コミックス)でも連載中のこの作品では、売れない役者・スーこと清武迪のもとに彼にしか見えない女の子が現れて……という内容で、死者との対話を通して話が進む。異色のストーリーにも注目だが、ちょっぴりモサい感じのスーは、生粋の“いくえみ男子”か、はたまたニュータイプとなるのだろうか。