これからマンガは“読む”から“描く”時代へ

マンガ

公開日:2012/8/5

 ネットやケータイ、スマホの登場でマンガのありようが変わったというのはよく指摘される話だが、最近、マンガの世界にもっと大きな変革の波が押し寄せてきている。好きな作品を読むだけでなく、自分で描いてみたいという人が激増しているのだ。

 ブームをけん引しているのは、「マンガ投稿サイト」の存在だ。マンガ作品の発表の手段はこれまで、商業誌にもちこむか、同人誌をつくるくらいしかなかった。だが、投稿サイトの登場によって、そのハードルが大幅に引き下げられ、自由に自分の作品を見てもらえるようになった。しかも、それぞれのサイトが展開している独自のサービスによって、初心者や趣味レベルの人たちも創作ゴコロを刺激され、恐れずにどんどん作品づくりに参加するようになったのだ。

advertisement

 今回は、そんな「マンガ投稿サイト」をいくつか紹介してみよう。
はじめに紹介するのは「漫画 on Web」。これは『海猿』(小学館)や『ブラックジャックによろしく』(講談社)で有名な佐藤秀峰が作ったサイトで、ニュースにも取り上げられることが多く、注目度も高い。公開されている作品のどれもが高いクオリティを誇るのも特徴だ。

 次は「ACOMI」。読者が作品に採点やコメントを付けることができる、SNS型マンガ投稿サイトの代表格。サイトデザインもかわいく、読むのも描くのも初めての人にはオススメだ。
 
 そしてSNS型で忘れてはいけないのが「pixiv」。イラスト投稿サイトとして有名だが、マンガ投稿も可能。利用者や閲覧者も非常に多いため、「とにかく自分のマンガを見てほしい」という人にはうってつけだろう。

 「マンガごっちゃ」は出版社マイクロマガジン社の運営するサイト。運営会社が出版社であるため、投稿した作品がそのまま本になる、なんてこともあるかもしれない。
他にも携帯小説という新しい本のあり方を作り上げたスターツ出版運営の「マンガマルシェまんまる。」もある。

 大学が運営しているという変り種も。それが「マンガク」。マンガ学部があることで有名な京都精華大学のサイトで、プロマンガ家の教員からの適切なアドバイスを受けることができる。そのうえ、教員への質問コーナーもあるので、サイトを見るだけでも勉強になることが多いだろう。

 他にも、オリジナル作品の募集のみという縛りが多い投稿サイトの中で、二次創作もOKなサイト「MANGAROO」や、ネット掲示板2ちゃんねる発の「新都社」(ニート社と読む)や「週刊少年ワロス」など、とにかくさまざまなサイトがブームを盛り上げている。

 しかも、この「マンガを描く」ブームは最近、「投稿サイト」の外にも広がりはじめた。名古屋ではなんと「描く」マンガ喫茶、その名も「漫画空間」が誕生。ペン類、文具類、トレーサー、ラミネーター、背景・ポーズ資料集等、マンガを描く際に必要な道具はすべて揃えられており、基本的には無料で使用可能。また、お店のスタッフ全員がマンガを描けるのも特徴のひとつで、マンガ初心者には親切丁寧な指導も行っている。この「漫画空間」は多くの話題を集め、マンガを描きたい人やマンガ家を目指す人がこぞって詰めかけているという。

 さらに、出版界では『マンガの基本ドリル』(ゴーオフィス/廣済堂出版)などの入門書から、『ハイパーアングルポーズ集』(創美社)や『描ける! 銃&ナイフ格闘ポーズスタイル図鑑』(スタジオ・ハードデラックス/エムディエヌコーポレーション)をはじめとしたさまざまな参考書が次々発行され、いずれも好調な売れ行きを示している。

 誰もが気軽にマンガを読む時代から、誰もが自由にマンガを描く時代へ。マンガファンよ、この熱い流れに乗り遅れるな。ペンを握り締めて、立ち上がれ。

■漫画 on Web(http://mangaonweb.com/welcome.do)
■ACOMI(http://www.acomi.jp/)
■pixiv(http://www.pixiv.net/)
■マンガごっちゃ(http://mangag.com/)
■マンガマルシェまんまる。(http://www.manmar.jp/p/surfing/)
■マンガク(http://www.mangaku-seika.jp/)
■MANGAROO(http://www.mangaroo.jp/)
■新都社(http://neetsha.jp/)
■週刊少年ワロス(http://books.vipdoor.in/)