スポーツより“萌え”!? イギリスは腐女子の国だった!

公開日:2012/8/7

 連日、大盛り上がりのロンドン五輪。しかし、熱戦とは無関係に、「男子体操の加藤凌平選手がかわいすぎる!」「飛び込み競技の男子選手、股間にテロップが入って全裸に見える!」などなど、腐女子たちも大騒ぎ中。イケメンたちが勢ぞろいし、かつ“仲間”や“ライバル”といった腐女子サーチエンジンのビッグワードが連発&強調されるものだから、もう大変。BL心をくすぐられまくって、毎晩眠れない!なんていう女子も少なくないのではないだろうか。

 実は今回の五輪の舞台であるイギリスは、もともと腐女子好みの作品が数多く生み出されている国。たとえば、BLの定番であるバディ(男同士の仲間)ものといえば、日本では『まほろ駅前多田便利軒』や『バッテリー』、ドラマの『相棒』などが人気だが、その源流はなんといってもアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズにおけるホームズ&ワトソンだろう。昨年公開された映画『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』も、ホームズのワトソン愛とワトソンのツンデレぶりが日本の腐女子に大ウケだった。

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 そこで今回は、ロンドン五輪記念として、腐女子にオススメのイギリス作品を紹介したい。

 まず紹介したいのが、P・G・ウッドハウスによる『ジーヴズの事件簿』(文春文庫)や『比類なきジーヴズ』(国書刊行会)の、「ジーヴズ」シリーズ。お人好し+ぐうたら、でもお金持ちの青年バーティと、超優秀な執事ジーヴズのドタバタコメディだ。『プリーズ、ジーヴズ』としてマンガ化され、現在『花とゆめ』で連載中。まずはマンガから入って、BL的イメージを膨らませるのも楽しいだろう。

 アラン・シリトーの『長距離走者の孤独』は、窃盗の罪で感化院に入れられた労働者階級の少年コリンが、足の速さを身込まれパブリックスクールの学生たちとの大会に長距離ランナーとして出場する……という物語。同じ著者の『土曜の夜と日曜の朝』に収められた「土曜の夜」では、労働者階級の主人公と仲間たちの、酒場での喧噪を描いている。2作とも、ワルメン好きな人にオススメの作品だ。

 執事萌えの人には、カズオ・イシグロ『日の名残り』を。執事スティーブンスが長年秘めていた女中頭への淡い想いが主題のひとつなので、BL度は低め。しかし、スティーブンスは執事中の執事ともいうべき人物のため、執事研究にはバッチリだ。

 このほかにも、オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』は、画家のモデルとなった美青年ドリアンが、快楽主義者であるヘンリー卿に惑わされ背徳の生活に堕ちていく“耽美系”ストーリーだし、同じワイルドの有名な寓話『幸福な王子』は、王子とツバメのBLに変換して読めば、落涙必至だ。これは子ども用にアレンジされたものでなく、ぜひオリジナルをおすすめしたい。

 イギリスは、伝統的に“男同士の絆”をベースにして社会がつくられてきた国。腐女子向けな作品が生まれやすい理由はそこにあるのかもしれない。しかし、残念ながらというべきか、イギリスは日本ほど腐女子趣味が浸透していない模様。このBLの宝庫を手つかずのままにしておくのはもったいない!? 五輪以後もひき続き“腐女子の国・イギリス”に注目してほしい。