サカナクションからブリトニーまで愛読の『アルケミスト』って?

文芸・カルチャー

更新日:2019/9/19

有名人たちから絶大な支持を受ける小説が、ロングセラーとなっている。
中山美穂戸田恵梨香、元JUDY AND MARYのTAKUYA、海外ではブリトニー・スピアーズにジュリア・ロバーツまで……有名人たちが一様に愛読書として挙げる本が、パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト 夢を旅した少年』(単行本:地湧社、ペーパーバック:角川書店)だ。

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森山未來は自己紹介代わりにこの本をプレゼントすることが多いらしく、以前、『さんまのまんま』に出演した際は、明石家さんまに手渡していたほど。先日も、サカナクションのボーカル・山口一郎が“背中を押された本”として『王様のブランチ』で紹介したばかりだ。

著者のパウロ・コエーリョは、ブラジルの人気作家。『アルケミスト 夢を旅した少年』は1988年にブラジルで出版され、大ベストセラーに。その評価は『星の王子さま』に並び称されるほどだという。しかし、なぜここまで愛されるのだろうか。

その秘密の鍵のひとつに、作品世界の“神秘性”が考えられる。『アルケミスト 夢を旅した少年』は、羊飼いの少年サンチャゴが、夢をかなえるためにエジプトのピラミッドまで旅をする物語。旅の途中で出会った錬金術師(アルケミスト)の導きのなか、サンチャゴは“夢をかなえるとはどういうことか”“生きるとは何か”といったことを身に付けていくのだが、随所にスピリチュアルなメッセージが感じられるのだ。

たとえば、印象に残った箇所として挙げる人も多い錬金術師の台詞「おまえがだれであろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ」もそう。「おまえが何か欲する時、宇宙全体が協力しておまえを助けてくれるよ」と言う錬金術師の言葉には、絶対的な力によって肯定される“スピリチュアルの醍醐味”があるのではないだろうか。ちなみに、日本語訳を担当している山川紘矢・亜希子夫妻は、精神世界の本を数多く翻訳してきた第1人者だ。

多くの人の心を掴んで離さない、『アルケミスト 夢を旅した少年』の世界観。昨今のスピリチュアルブームとあいまって、さらなるロングセラーとなりそうだ。