21世紀版『めぞん一刻』!? 変人だらけのアパートが人気

マンガ

更新日:2012/8/30

 『めぞん一刻』(高橋留美子/小学館)の「一刻館」のように、愉快な下宿人が登場するマンガ『僕らはみんな河合荘』(宮原るり/少年画報社)が人気だ。

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 主人公は親の転勤で「河合荘」に下宿することとなった高校生の宇佐。変人ばかりが寄ってくることで「変人処理班」略して「ヘンショリ」と呼ばれていた中学生時代を忘れ、青春を謳歌しようと思っていた宇佐だったのに、河合荘の面々は変人ばかり。同室の城崎は、小学校のフェンスに頭を突っ込んで警察に職質されたこともある立派な変人。加えて超ドMで、自己紹介でも「シロって呼んで できるだけ犬っぽく」などと言ったり、小学生に馬鹿にされてハァハァしてしまうような危ない人だ。最初は城崎と同室なんて耐えられないと思い、河合荘を飛び出そうとする宇佐だったが、学校の図書室で一目惚れした先輩・河合律もここの住人だと知り、思いとどまる。そんなところも『めぞん一刻』そっくりだ。

 また、同じく河合荘の住人である麻弓は酒乱で下ネタ全開のOL。二股・三股をかけられてフラれても、相手から連絡が来ればコロッと騙されてしまうような彼女は、律からも「吸引力の変わらないダメ男掃除機」と言われるほど男運がない。もうひとりの住人である彩花は、麻弓の胸やお腹を揉むのが趣味の女子大生。かわいらしい見た目とは裏腹に腹黒な彼女は、律に気がある宇佐を焚きつけてからかったり、男の気を引いて修羅場を演出したりして楽しむ“サークルクラッシャー”。

 でも、そんな住人たちに振り回される河合荘での生活は、なかなか悪くないのだ。落ち込んでいたり、逆に何かいいことがあったりすると管理人の住子さんが夕飯に好物を出してくれる。みんなで一緒に映画を見て、庭で巨大なシャボン玉を作ってはしゃいだり、水鉄砲で遊んだり、ピタゴラ装置的なものを作ってみたりもする。大人になってもこんなふうにみんなと遊べる河合荘に住めば、きっと毎日が楽しいに違いない。

 現実の世界でも、最近は若者の間でシェアハウスが人気のようだ。共同生活する機会が減り、人とのつながりも薄くなってきたと言われる現代でシェアハウスが注目されているのは、やはり心のどこかに人と出会いたい、つながりたいという欲求があるからだろう。普段生活していたら絶対に出会わない人、関わらない人たちと出会い、その人の本当の魅力に気づける共同生活を描くマンガは、疲れて人の優しさに飢えた現代人を癒してくれるのだ。

 そして、下ネタが苦手と語る高橋留美子と違い、作者の宮原るりが1巻のあとがきで「“よし、さらっと下ネタを描くぞ!”という決意を胸に頑張っております」と宣言しているように、下ネタも満載。こんな笑えてホッとするマンガ『僕らはみんな河合荘』の第3巻は8月30日に発売。こんな愉快な下宿先なら、住んでみるのも悪くない?