もしも中二病の妄想が具現化したら……!?

マンガ

公開日:2012/9/4

 妹や幼なじみ、女子校に憧れを抱いたり、意味も無く必殺技を考えてみたり難しい言葉を使いたがったり……。そんな誰もが1度は通ってきた“中二病”の道。もしそんな中二病時代の妄想が具現化してしまったら? しかもそれが、消し去りたい痛い黒歴史と自覚して葬り去ろうとしたときだったら……?

advertisement

 8月31日に発売された『幼なじみと妹が俺の妄想で邪気眼デイドリーム』(久遠くおん、多門結之/ホビージャパン) は、そんな恐怖の物語だ。元中二病患者の主人公・水橋大智が高校でリア充になるため、自作キャラ設定画や妄想日記、ポエム、復讐リストを庭で燃やしていたところ、突然異能を持った美少女たちが現れる。実は大智が燃やしていたのは、ページを燃やすとそこに書いたことが実現するという魔道書だったのだ。

 それによってオッドアイでゴスロリ姿をした闇の眷族なる設定の妹ができてしまったり、精霊を操る魔術や刀を使って魔族を狩るツンデレ幼なじみが現れた。そして彼女たちは大智が考えた「紅の息吹(サラマンダーブレード)」や「紺碧の疾風(シルフエッジ)」なんてルビをつけた恥ずかしい技を連発するのだ。さらに学校が女子校化して親友も女の子になってしまい、とにかく新しいものを作ろうと思っていろんな設定を詰め込んだ魔法少女に変身する多重人格サイボーグ・ユミーという少女まで現れる。

 元中二病患者がそんな状況に陥ったら、悶絶することは必至。
しかし彼女たちは実在する人物で、大智の考えたキャラ設定に名前や容姿が似ているという理由で選ばれた少女たちだったのだ。もちろん妹と幼なじみもクラスメイトの空木恵那とその妹・恵連で、大智の妄想が彼女たちの別人格として現れていた。そんな大智の妄想から彼女たちを救い、自分の痛い過去を消す方法はただひとつ。世界中の人の負の感情が溢れ出して人の精神に寄生し、理性を崩壊させ異形のものへと変えた「輪廻の果てより来たりし悪徳の獣」なんていう敵キャラも含め魔道書にみっちりと書き込んだ全300ページを封印するしかないのだ。

 中二病を嫌悪していた大智だったが、自分が書いた妄想と向き合ううちにだんだんと中二病を受け入れる大二病へと移り変わる。やっぱり中二病サイコウ! 無駄に凝った設定もルビも大好きだし、自分を特別だと思ったっていいじゃないかと開き直るのだ。

 『中二病でも恋がしたい!』(虎虎、逢坂望美/京都アニメーション)のアニメ化に『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』(田中ロミオ、mebae/小学館)の映画化、やっぱり男の子はいくつになっても中二病設定が大好き。もはや切っても切れない関係なのだ。『幼なじみと妹が俺の妄想で邪気眼デイドリーム』は、そのことを再確認させてくれるだろう。