なぜ、あのヒロインの作る料理はマズいのか?

マンガ

公開日:2012/9/6

 『らんま1/2』(高橋留美子/小学館)のあかね、『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)の妃さん、『うる星やつら』(高橋留美子/小学館)のラムちゃんに『ハチミツとクローバー』(羽海野チカ/集英社)のはぐちゃんとあゆみ。さて突然ですが、このキャラたちに共通することはなんでしょう? 正解は、ズバリ、料理が下手だということです。

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 彼女たちの料理下手レベルは塩と砂糖を間違えたなんてベタなものから、『これはゾンビですか?』(木村心一、こぶいち、むりりん/富士見書房)のセラのように唐揚げを“ビー玉くらいの大きさをした漆黒の球体”にしてしまうなんて魔法レベルのものまでさまざま。

そんな、料理下手ヒロインを真正面から取り上げたラノベ『彼女たちのメシがマズい100の理由』(高野小鹿、たいしょう田中/角川書店)が8月31日に発売された。これを読めば、歴代の料理下手ヒロインたちの、“メシマズ”な理由も解明されるかもしれない。

 この話は、家事の一切できない主人公・愛内葉介を残して両親が海外に行ってしまったことから始まる。そんな葉介を気遣って3人のヒロインが登場するのだが、彼女たちは全員とてつもなく料理が下手だったのだ。

 まず1人目は幼馴染の香神紅緒。彼女の“メシがマズい理由”略してMMP(メシマズポイント)は極度の味覚音痴と究極のアレンジャーだ。『ハチミツとクローバー』のはぐちゃんやあゆみにも通じるこのタイプは、なんでも美味しく食べれてしまうので「マズい」という感覚がない。例えば、紅緒が作るホットサンドにはチーズとさくらんぼのコンポート、くるみ、ウィンナー、ハンバーグ、生クリームが入っており上からはたっぷりのメープルシロップがかかっている。さらに、体調が優れないという葉介のためにバファリンまで入れちゃうのだ。聞いているだけで気持ち悪くなるような一品だが、自信作だと胸を張る紅緒は実際にそれを食べても美味しいというのだからもうお手あげ。

 そんな絶望的な状況の中、救世主のようにイギリスからやってきたのが従姉妹のリリィ・アップルガースである。しかし、さすがは世界的メシマズの国・イギリス出身。彼女が作るフィッシュアンドチップスは、生揚げの肉厚衣が付いた油ヌルヌルの物体で、それにお酢をダパダパかけて食べる。さらにデロデロに溶けるまで茹でた温野菜、ギトギトした黒いソーセージは味がしないので、塩をかけて食べなければならなかった。味覚・知識ともにイギリス仕様というMMPのせいで、日本人である葉介の口には全く合わなかったのである。同じくイギリス出身だという『IS〈インフィニット・ストラトス〉』(弓弦イズル、okiura/メディアファクトリー)のセシリアも、料理では苦労しているようだ。

 そして、葉介を気の毒に思ったクラスメイトの花菱カロンはある取引の交換条件として料理をすると申し出る。だが、基本的にカップ麺以外作ったことがない上に調味料多用と超激辛党のMMPを持つ彼女が作るのはすべて激辛。自分の料理がまずいことを自覚しているが、自分が美味しいと思うものを食べて欲しいと言ってデスソース入りのスコーンを作っちゃうような女の子だったのだ。激辛料理と聞いて思い浮かぶ『うる星やつら』のラムちゃんも、間違いなくこのタイプだろう。

 料理ができなくても懸命に主人公に尽くすヒロインには萌えるかもしれないが、リアルな料理下手を笑って許してくれる人はなかなかいない。もしも「自分にも当てはまる」なんて人がいたら要チェック! 2巻以降でも続々とメシマズの理由が解明されていくので、自分がどの料理下手に当てはまるか分析すれば、少しは改善できる……かも?