AKB48もこんなに過酷! 現代アイドル残酷物語

芸能

更新日:2012/9/18

 この数年のAKB48ブームの影響で、芸能界はアイドルグループが続々と誕生する百花繚乱の時代が到来。目立ったところでは、ももいろクローバーZの妹分である“エビ中”こと私立恵比寿中学や、サンミュージック初のアイドル集団・さんみゅ~(β)などが登場しているが、地道なライブハウスでの活動を主とする“地下アイドル”や、オタクのメッカ・秋葉原が主戦場の“アキバ系アイドル”の世界は、さらにすごい。8月21日に発売された『インディーズ・アイドル名鑑』(諏訪 稔/河出書房新社)には総勢208名の地下アイドルが掲載されているのだが、もはや「私はアイドルです!」と手を挙げればなれるものなのか!? と思えるほどだ。

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 このように「あっちゃんみたいになりたい!」と憧れる女の子は増殖し続ける一方。しかし、アイドル道というのはそんなに甘くもヌルくもない。スポットライトの光には、その陰に過酷なアイドルの実態が隠されているのだ。

 AKB48の古参メンバー・仲谷明香は、中学の同級生だった前田敦子に影響を受けてAKB48のオーディションを受けたと著書『非選抜アイドル』(小学館)で明かしている。が、オーディションを突破しても、前田のように即センターになれるはずもなく、さらには選抜メンバーにさえ選ばれない。ファンからの評判を知り、参考になる意見を取り入れようと自分の名前をネットで検索するも、「そもそも私に対する書き込みがとても少ない」「あったとしても、そのほとんどが「あまり印象にない」という意見だった」。……10代の女の子には、あまりに酷な現実である。しかし、非選抜アイドルという生き方にやりがいを見出し、仕事がない分、練習に励んでは“忙しいメンバーの代打”ポジションを獲得していく仲谷の姿は、なんとも清々しい。選抜総選挙では3年連続で圏外だった彼女が、今年は36位と大躍進したのも、この著書の効果ではないだろうか。仲谷は、まさに高橋みなみの言葉「努力をすれば報われる」を体現した格好だ。

 だが、同じAKB48でも、その努力があらぬ方向に向かう場合もある。2期生としてデビューした大堀恵の『最下層アイドル あきらめなければ明日はある!』(WAVE出版)には、アイドルらしくブリっ子スマイルをキメても、会場から冷ややかな笑いが返ってくるという痛ましい描写が。バラエティ番組の企画では、「ともちん以上のかわいさは出せない」と諦め、あえてキレ芸を披露。その努力が買われてソロデビューを果たすも、曲のタイトルは『甘い股関節』。下着のような衣装を身に付け踊る姿に、母は鬱病状態になり、父は毎晩酒に溺れてはこっそり涙を流すという家族崩壊危機にまで発展してしまう。大堀は、本書の刊行と同時期にAKB48からの卒業とSDN48への完全移籍が発表されたのだが、いまはそのSDN48も卒業。「あきらめなければ明日はある!」を実現すべく、今後もがんばってほしい限りだ。

 さらに、仲谷や大堀の苦労も霞んでしまうのは、小明の『アイドル墜落日記』(洋泉社)だろう。高校時代に「自己顕示欲をこじらせてグラビアデビュー」を果たすものの、芸能界初の“エプドル”(エプロンアイドルの略)として売り出され、見事に大コケ。大学では「お前、あんなことして恥ずかしくないの」と男子に真顔で言われるわ、どんどんと水着の布面積も小さくなるわで、仕事のエロ度は増すばかりの状態に。円形脱毛症に悩み、精神も限界点に達したところで、ついに事務所を辞める決心をするのだが、その後も待ち受ける困難の数々――。この本を読めば、きっと芸能界の厳しさが骨身に染みて伝わるのではないだろうか。ちなみに小明は、現在、その文才を活かしてアイドル兼ライターとして活躍中だ。

 アイドルを目指している人は、カワイイ以外の武器を探すことも忘れずに。そして、どうか悪い大人にひっかからないよう、くれぐれも気をつけて!