存在感の薄い“空気系”主人公が人気!?

マンガ

公開日:2012/9/27

 主人公なのに周りの人から忘れ去られてしまったり、あまり喋らなくて目立たない“空気”のような存在。そんな存在感の薄い“空気系”主人公の魅力を探ってみよう。

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 空気系キャラの代表といえば、アニメの2期も好調だった『ゆるゆり』(なもり/一迅社)の赤座あかり。主人公のはずなのに表紙でも他のキャラや帯で隠れていたり、せっかくのカラーページでもあかりが来ると電気が消えて真っ暗になり一切描かれないなど、主人公らしからぬずいぶんとひどい扱いを受けているようだ。また、2話目にして早くも存在が薄いことが話題になる。作中で解決策としてほかの登場人物から出された案は「効果音が全部“アッカリ~ン”」とか「おっぱいミサイル」、「とうめいにんげん」というわけの分からないものばかり。ついには、みんなでプールに行く約束をしても1人だけ電車に乗り遅れ、みんなが先に遊んでいるのを写メで報告されるというなんとも悲しい事態も起きてしまう。

 『がんばれ! 消えるな!! 色素薄子さん』(水月とーこ/一迅社)の薄子さんも、宅配便が来ても留守だと思われ、停留所でバスを待っていても素通りされてしまうなど、いろいろ薄い。さらには電車でお祖母さんが膝の上に座ってきたり、薄凶という謎のおみくじまで引き当ててしまう。気配を消すのが得意なのでセミなどの昆虫を捕まえるのはとても上手いが、虫にさえ認識されない存在感とは一体どれほどのものなのだろうか?

 さらに『森田さんは無口』(佐野 妙/竹書房)の森田さんも、タイトル通りほとんどしゃべらない。別に好きで無口なわけではないのだが、考えすぎて伝えたいことがまとまらなかったりして焦っているようだ。さらに、母親からの教えで相手の目をじっと見つめて話を聞く癖があるので、すごく真剣に話を聞いてくれている感じがする。しかし、仲良くなるまではちょっぴり怖い存在かも。

 しかし、そんな“空気系”キャラの彼女たちも決してひどい扱いばかり受けているわけではない。むしろ、他のキャラからはとても愛されていたりするのだ。まったりマイペースな彼女たちは空気のようにそこにいるのが当たり前で、相手を癒し、安心させてくれる。それは彼女たちがとても優しいからこそ醸し出せるものなのだ。そんな彼女たちの魅力は、健気なところと愛くるしい仕草に尽きる。褒められたりお礼を言われると照れたり、何か話しかけるとコクリとうなずくところ。そんな幼さを感じさせる仕草に思わずキュンとくるのだ。

 そんな空気系キャラがマンガだけでなく、ラノベでも登場するようだ。9月29日に発売される『ひるねねのききねね』(著:関根パン、イラスト:小路あゆむ/エンターブレイン)は、超内気で小声な永居昼音が主人公。放送委員の彼女がつとめるお昼の放送は「おひるねタイム」と呼ばれるほどの無音放送!? マンガでは仕種や表情で可愛らしさをアピールできたが、ラノベでしゃべらないキャラはいったいどうなっちゃうのか? 永居さんの空気っぷりに注目!