第29回『土屋礼央、大根を大いに桂剥く』 土屋礼央

更新日:2013/8/6

かぼちゃで亀も作ってみたい
ウドで釣り船も作ってみたい

土屋礼央、大根を大いに桂剥く』

今回のレオナルホド・ダ・ヴィンチは大根の桂剥き特集です。

土屋礼央の桂剥きレポートをたっぷりご堪能下さい。

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あれ?
確か今回はより豪華にお寿司を握るんじゃなかったっけ?

そう、そのつもりでした。

しかし今回は
土屋礼央、大根を大いに桂剥く」
をお届け。

そうなった経緯からご説明します……。

前回、思いの外
“悪くない”
にぎり寿司を握れてしまった土屋さん。

東急ハンズで購入したキットで握るよりも
シャリも崩れず
口の中でシャリがホロり。

自分の手で握る>キットで握る

自らの手で素敵なにぎり寿司を握るという
男の夢を叶える事に成功。


キットで握った寿司はシャリが少し柔らかい

自分で握った寿司は適度にシャリがまとまっています。
土屋さん、器用な可能性大です
“>
前回は思った以上に上手に握れました

しかし
お寿司はしっかり胃袋が消化したものの
原稿的にはなんだか消化不良な作者。

という事で今回は
もう少し踏み込んで
お寿司を炙ってみたり
握り寿司を彩る飾り切りを習得するに挑戦する事に。

早速
調理用バーナーと飾り切りの教則本を購入。

思った以上の調理用バーナーの重量感に
メカ感を覚え興奮。

焼き豆腐作りたい……


あぁ、早くバーナーで炙りたい……

おっといけない、今回は握り寿司だった。
他の興味は我慢して、先ずは飾り切りの方を習得しよう。

教則本を読む。

なるほど……、


S.SG……
(す、すげぇ……の略)

これは一筋縄ではいかない感満載。

安易に手を出してはいけないクオリティです。

無理、か?

いや
とりあえず前に進もう。

道場六三郎さんだって最初は料理の初心者だった筈です。
一歩を踏みださければ二歩めは無い。

スケジュール帳に
丸々一日

「寿司を握る」
の予定を入れる。

腹をくくって挑戦です。

お寿司のネタ、飾り切り用野菜等、もろもろ食材をまとめて購入。

とりあえず、炙りたい……。

男子な僕はどうしても火遊び的なものに興味が。

しかし我慢。
それは後で楽しもう。

先ずは
僕の中で飾り切りと言えばこれというものに取りかかりますか。

松キュウリだ。

一本のキュウリで綺麗な松の木の様な立派な形にするあれです。

教則本にそって挑戦。

出来た。

うーん、厳しい。

なんも松じゃない。
これじゃ竹だ。


松キュウリ一個目。
これじゃ竹だ

教則本が写真三コマだけでの説明なので
いまいち初心者には参考にしづらかったので
YouTubeで職人が切る松キュウリの映像を見る。


S.SG……

以前も凄い技だとは思っていましたが
自分で挑戦してから見るとその凄さが数倍実感出来ます。

再度チャレンジ。

おぉ、進化。


来たよ、コレ!

ただまだ松では無いな……

再度YouTube。

やっぱSG……

再々チャレンジ。

おぉ!


ちょっとずつ上達しております

ちょっとずつ上手くなっている図

再々×2チャレンジ

どうだ!


上手くなりました


うーん、素敵。

人は上達するのですね。

土屋礼央
器用な気がしてきました。
これも素敵な写真が撮れそうです。

さて続いての飾り切りは……。

我慢出来ない!
バーナー使いたい!
とりあえず炙らさせて頂きます。


もう、炙らさせて頂きます

ボーっ!!


T.TS!
(た、楽しい!の略)


人生初バーナー。火良いね。火は。
おねしょに気をつけます

そして、美味い……。

炙って温かい部分と生の冷たい部分のコラボが
いつもの刺身とは違う味わいを演出。

これを家庭で味わえるとは、
なんて贅沢。
買って良かった……。

なるほど、火力を調節する事で焼き色が変わるのね。


ブリを……

炙る!


炙りブリとはこれ如何に。
まいうー!


シソで巻く!
旨すぎる!
そろそろ作業に戻らなくては……


イカも炙る!
そろそろ作業に戻らなくては……

プリンとか炙ってみたい……。

いかん、お寿司に戻ろう。

再び、飾り包丁教則本へ。

何にチャレンジしましょうか……。

おぉ、これ綺麗だなぁ。
自分で作ってみたいなぁ。

菊の花!
これにしましょう。

この技を行うには先ずは桂剥きが必要です。

あぁ、あれね。
ドラマとかで見た事あるよ。
包丁の基本みたいなやーつね。

まぁ松キュウリも出来ちゃった僕だから
桂剥きも何回かやれば綺麗に出来るっしょ。

さっそく桂剥きに挑戦。

本の通りにやってみる。
うーん、難しい。


最初の桂剥き。酷い

まぁ、最初はこんなもんしょ。

YouTubeをチェック。

おぉ、本物すげー。
うつくしいー。

よし、桂剥きのイメージは出来ました。

ふたたびチャレンジ。

出来た。


ちょっとずつ上達してはきたが
長さが足りないんです

うーん。全然だめだ。
サイドチャレンジ。

数十分経過。

全く上達しない!


なんて手首が痛いんだ!

器用だと思っていた自分。
器用では無いのか?

いや、そんな事ない、きっと何か原因がある筈です。

器用な自分に自信を持ち出した土屋さん。
桂剥きが出来ない原因(言い訳)を探し始めました。

もしや左利き不利?

さっそく包丁を調べる。

チェック……


右利き仕様なんですけど!!


包丁が右利き用だ!

切り込みの角度が右利き用なのです……
羨ましいぞ右利き!

ここにも存在しました、左利き不利生活。
急須、すり鉢に続いて包丁もです。

以前使っていたセラミック包丁の切れ味が悪くなったので
新しい包丁を買って使っていましたが
まさか右利き用とは……。

左利きって
知らず知らずに
窮屈なキッチン生活を強いられていたのですね。

「野球で有利じゃない」
の一点張りで左利きを持ち上げますが
それ以外は結構大変なんですよ!

左利きの窮屈な生活を
選挙で訴えたら、それなりに票があつまりそうである。


政党名はもちろん
「左利きの生活が第一」

…………。
さ、話題がそれてきたので戻します。

以前使っていたセラミック包丁を調べてみると
両刃包丁でした。


切れ味の悪くなった両刃のセラミック包丁を
奥から出す

これを包丁研ぎで再生をして
桂剥きをチャレンジ。


研ぎ機を購入

研ぎます。
言い訳要素を減らしていきます

いざ!

ススっ!

おぉ、やりやすい。

やっぱ俺が違っていたのではない。
包丁のせいなのだ。

無理矢理でも
自分を正当化する事で
人生をどうにか生きてきた土屋さん。

再び桂剥き上達に励む。

しかしYouTubeの様にはまだまだ。

練習あるのみ!


剥き続ける……

色んな包丁で練習しました……

時間は過ぎる

結果


まだまだだ……。

上手くはなったが、職人の様な出来には、ほど遠い……

午前2時……。

なかなか予定通りには進まないが、次の日の予定もある。
今日はここまで。

あ、そうだ
握ろうと思っていた刺身どうしよう……。

日持ちのしない刺身ネタ。
良い写真を撮る為に結構高級ネタを購入していました。

しかし桂剥きで苦労している僕。

撮影はまだ出来ない。

とりあえず食べよう……。

贅沢な夜食になったぜ。


桂剥き問題で、撮影出来なかった本鮪はヅケにして食す。
なんて贅沢な夜食

先ず、飾り切り用の野菜だけ購入すれば良かった……。

明日も練習だ!

……お待たせしました。
上記の様に当初描いていたにぎり寿司の撮影に至るまでには
まだまだ時間がかかりそう、ということなのです。
自分の中でも素敵な写真を撮る事より
桂剥きが上手くなりたい欲望の方が完全に上回ってしまいました。

という事で今回は
土屋礼央、大根を大いに桂剥く」
をお届け。
急な変更をお許し下さい。

翌日。

昼間は仕事をして
夜からは徹底的に練習です。

深夜。
キッチンの灯りのみで
気合いのハチマキをして
さらなる桂剥きに挑む。

目の前にはスーパーで購入した大根が4本。


土屋さんは何を目指しているのですか?

色々な声が聞こえてきます。
僕自身も自問自答しかねない……。

えぇい、邪念を振り払って練習。

時間経過……

上手くいかない!

両刃がいけないのか?

またモノに原因を突きつける土屋礼央

もしかして右手でやったら上手くいくかも……。
ギターも右で弾いているんだ。
可能性がある。

右手でチャレンジ。

スッ!

おぉ、切りやすい!

やはり包丁だ。


包丁変えたら薄くなった!
やはり包丁だ!
俺は悪くない!

やはり右利き羨ましい!

こんな簡単に桂剥きが……

このまま右手で勝負してみよう。

時間経過……

うむむ、
上達はしてきましたが、職人の様な桂剥きにはほど遠い。


幅を狭くしたら、長く出来た!
でも幅が足りない……。
あっちをたたせりゃ、こっちがたたず……。

普段使い慣れない右手。
手首が痛過ぎる。

やっぱ利き手じゃないと駄目だ。

三たび左手に包丁をチェンジ。

スッ……

おぉ、桂剥きしやすい!

やっぱ左利きは左手で勝負だ!

ん?
ちょっと待て、
やり方を変えても少しずつ上達している……。
って事は


ただ単に序々に上達しているだけだ。

道具のせいにしてスミマセンでした……。

この時点で大根4本消費。
ダメだ、今日もダメだ。

うなだれる僕。

明日左利き用の包丁を買いに行って
言い訳なく努力しよう。
急がば回れだ。

東急ハンズに行って
左利きの包丁を購入。


遂に左手用を購入!

何十本も包丁があったが
左利き用はたった1本。

ようやく出会えた左利きの包丁を手にレジに向かう。

すると後ろから声が聞こえてきた。

「はい、こちらのスピードピーラー、とても便利ですよー、
桂剥きもホラ、この通り!」

その声は実演販売の人の巧みな話術の声でした。

桂剥き?

別に禿げてきた訳では無いが
カツラという響きに敏感です。

レジに行く前に
実演販売の見学をしに行く事に。

「桂剥きもこの様に思いのまま!
ほうら簡単!」


ほ、欲しい……。

「ちなみに、飾り切りとかにも使えるんですか?」
とりあえず質問する僕。

「お兄さん、良い質問、大根もこの様にあっという間に菊の花」

僕の目指している大根の菊の花が
数秒で出来上がる。


ほ、欲しい……。
(二度目)

しかし、あれは駄目だ。
これを手にしたら、完全に負けだ。

実演販売に背中を向けて、レジに向かう。

「ちょっとお兄さん、沢山質問しておいて買わないの?
本当に便利よ! たったの2100円!」

押しに弱い僕。

「じゃぁ、色々教えてもらったし、一本下さい」

「毎度ありぃー!」

今回は使わない。今後、便利だから買ったのだ。

自分の心に強く言い聞かせて帰宅。

早速、左利きの包丁で挑戦。

おぉ、流石の切れ味だ。
これならイケルかも!

大根4本分消費。


ダメだ……。
全然上手くならない。

立派な職人さんを目指す若者が昼夜を問わず一生懸命努力して
ようやくできる桂剥き。

早々簡単には習得出来ない事を実感。

簡単に出来ちゃうかもと思ってしまいました。
職人の皆様、本当にすみませんでした……。


何枚も桂剥いたが、全て理想には届かず……

「俺を使ってみろよ」

目の前にある
実演販売で買ったスピードピーラーが僕に話しかけてきました。


こちらが禁断の器具スピードピーラー

いや、ダメだよ、お前を使ったら僕の負けなんだ。

「負けで良いじゃないか、一度で良いから使ってみろよ」

じゃ一回だけ……。

スピードピーラーを使う。

スーーーーーーー。

なんて綺麗に桂剥けるんだ。


こちらかピーラーの威力。
いとも簡単に……
あぁ……

涙がこぼれる僕。

ふがいない自分に涙。
そして
ピーラーの素晴らしさに感動。
包丁で桂剥きが出来る職人さんに敬意。

今回は色んな事を学ばせてもらったレオナルホド・ダ・ヴィンチの挑戦でした。

それにしても桂剥きがなかなか上手くいかない時はイライラしたなぁ。

ムキーー!

ではでは土屋礼央でした。


ピーラーを使えば、菊も簡単に……