チャンミン×妻夫木のBL映画!? 『黄金を抱いて翔べ』はBLだった

BL

更新日:2012/10/12

 監督・井筒和幸、主演・妻夫木聡で11月3日から公開される映画『黄金を抱いて翔べ』が、早くも話題を集めている。

 髙村薫の小説が原作のこの映画は、裏社会相手の調達屋である主人公・幸田(妻夫木)が、友人の北川(浅野忠信)から銀行の金塊を強奪する計画を持ちかけられ、銀行のシステムエンジニアの野田(桐谷健太)や留学生を装った北朝鮮スパイのモモ(チャンミン)、北川の弟にあたる春樹(溝端淳平)、元エレベーター技師の爺ちゃん(西田敏行)らとともに金塊奪取に挑む……というストーリー。手に汗握る本格サスペンスの映像化、さらに豪華キャストが揃ったこともあり期待は高まるが、映画公開に向けてとくに盛り上がっているのは、なんとBL界隈。じつは髙村薫は、サスペンス小説好きのみならず、BL的な設定・描写でBLファンからも熱烈な支持を受けており、なかでもこの『黄金を抱いて翔べ』は、主人公の幸田とモモのカップリングに萌える人が続出した“名作”。実は、あの羽海野チカも髙村作品の同人マンガをいくつも描いており、なかでも『黄金を抱いて翔べ』は近年ネットオークションで高額取引されるほどの人気作なのだ。

advertisement

 そこで今回は映画公開に先駆けて、『黄金を抱いて翔べ』文庫版より、「BL的視点で」映像化されてほしい名場面をピックアップしたい。

 北川が幸田に向かって「あのモモが、まともに口をきくのはお前だけだが……」と言うほどに、親密な幸田とモモ。なかでも象徴的なのが、幸田のこんなモノローグ。

 「モモと自分をつないでる糸は、幸田には初めから見えていた。決して興味も関心もあるわけではなかったが、偶然から始まった関係は、生きるための本能的な駆け引きのように、はっきりと自分の生理を刺激していた。」

 これって運命の赤い糸!? 「自分の生理を刺激」というのがなんとも性の匂いを感じさせられて、思わず悶えてしまう一文ではないか。また、豆腐屋で5年来アルバイトをしていたというモモについて、幸田が「モモの側にいると、青臭いムッとするような臭いがする」と述べているのも、そこはかとなくいやらしい。何より、豆腐屋でバイトに精を出すチャンミン! 大豆の匂いのチャンミン! ――これだけでも相当グッとくるポイントだ。

 さらに、ふたりで下水に入り込む、こんなシーンはどうだろう。

 「幸田は暗がりで裸になり、タオルで体を拭いて、モモが持ってきたジーパンとセーターに着替えた。モモは、声を立てずに笑っていた。幸田がクシャミをすると、モモは紙袋からワンカップ大関を取り出した。幸田とモモは、変電所のコンクリートの壁の下で、それを半分ずつ分けあった。」

 この「あ・うん」の呼吸感! モモったら、まるで古女房のようでカワイイではないか。
 
 しかし、萌えるといえば、なんといっても幸田のこの台詞ではないだろうか。 

「“モモに何かあったら、絶対に許さない。俺も生きていけない。”モモとはもう特別の仲だ。(後略)」

 ……これぞハードボイルドBLの極み! チャンミンとブッキーの仲睦まじい様子に読み惚れてきた読者にとっては、発狂寸前のラブ度である。 

 だが、これ以外にも幸田×モモの名場面は盛りだくさん。さらにエンディング近くには、ふたりの絆が露わになる感涙必至のシーンも……。その詳細は、ぜひ読んで確かめていただきたい。

 それにしても心配なのは、このBL的設定が映画ではどう扱われるのかということ。井筒監督、どうか全国の“BL方向による髙村ファン”の期待は裏切らないでね!