作家から漫画家へ。異色の転身をはたした豊島ミホの挑戦とは
更新日:2013/8/6
次の仕事の選択肢のひとつとして漫画があった
――なぜ漫画を描くことを決意したか、きっかけや経緯を含めて教えてください。
豊島 漫画は保育園の頃からずっと描いていて、高校を出てからは投稿もしていました。が、たまたま出してみた小説が先に新人賞を通ってしまい、同時に応募していた漫画のほうは落選。こんなに長く、たくさんやってきたことが認められないなんて……とショックで漫画はあきらめてしまいました。
でも小説の仕事をいただくのをやめたあと、色んな仕事を選択肢として考える中で、もう一度漫画にチャレンジしたいという気持ちが湧いてきました。秋田に帰って少ししてから、描き始めました。
最初は結婚して漫画もパート代わりに細く長く続ける……的なビジョンを持っていたのですが、田舎で結婚できなかったしデビューもできなかったので、東京に出て、バイトなどしながら持ち込みする生活をすることにしました。
上京した直後、「文芸あねもね」でお世話になったパブーさんから、連載機能をリリースするにあたりデモンストレーション的に何か小説以外のことをしてみないかとお声がけいただき、これ幸いと漫画を描かせていただくことにしましたが、仕事が途切れたら、普通にバイトしながら持ち込みすると思います。
――豊島さん自身は、漫画と小説にはどのような違いがあるとお考えですか?
豊島 どっちがどういう話に向いているとか、違いはあると思いますが、それを答えると「だから漫画に変えたのか」と誤解されそうな気がします。比較検討して漫画を選んだのではなく、小説の仕事をやめてから、次の仕事の選択肢のひとつとして漫画があったということです。
仕事内容の違いというのは感じますが(小説家は人前に出る仕事が多いなど)、心がけというか、精神面で求められるものは似ていると思います。どちらも、無理だと思うことを乗り越えていく覚悟がないとできない仕事だと感じます(世の中の仕事全部そうかもしれませんが……)。自分は小説を書いていく上で覚悟が足りなかったなと今になって反省することが多いです。漫画では小説の時よりたくさんのハードルを越えていきたいです。
――今回「読書感想文」をテーマにした理由は?
豊島 私は小学校から高校まで、読書感想文がろくに書けず苦労してきました。が、大学時代にやっと「あ、そうか、こういう考え方で書けばよかったんだ!」ということをひらめいて、それを、自分のように感想文が書けない子たちに伝えたいと思うようになりました。「読書感想文攻略法」というタイトルや内容は、長年考えてきたものです。
今回、漫画を初めて連続掲載していただくにあたり、新たに連載用のストーリーを考えるよりは、はっきりと道筋の決まったもののほうが安心かなと思い、「読書感想文攻略法」の企画を引っぱり出させていただきました。「ブクログのパブー」さんだけに、読書がらみのネタがいいかなというのもちょっと考えていました。
――今後の展開(豊島さんが挑戦したいことや、これからの企画など)を教えて下さい。
豊島 「別冊マーガレット」の11月号から、読者ページでイラストコラムと恋愛相談(※編集さんとのチャット形式、文章)を担当させていただいております。まずは目の前の仕事を頑張りたいです。また、別マは大好きな雑誌で、描かせていただけることがすごく嬉しいので、こういうふうに、自分が大好きな場所で、役に立つことを目指して仕事していけたら幸せだなと思います。
――ありがとうございました。今後の連載を楽しみにしています。