ジャンプで今いちばんの話題作!? 『暗殺教室』とは

マンガ

更新日:2012/11/1

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)で話題沸騰中の『暗殺教室』第1巻(松井優征/集英社)が11月2日に発売される。この作品、かつて『魔人探偵脳噛ネウロ』(集英社)で人気を博した松井優征の次なる連載なのだが、それだけが話題になったわけではない。そう、『暗殺教室』は実に「ジャンプらしくない」作品であると話題なのだ。

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 どういうところがジャンプらしくないのか。まずはそのストーリーが“らしくない”。

 舞台は、超進学校の私立椚(くぬぎ)ケ丘中学校。その中の落ちこぼれクラスである3年E組には受験勉強以外の目的があった。それは担任教師を「暗殺」すること。というのも、月を物理的に破壊して三日月にしてしまったうえ、国の力を使っても殺せるどころか、捕まえることすらできない謎の生物が突如として出現したのだが、その生物はE組の生徒にだけ自分を殺させると宣言。さらには担任をやらせろと要求し、謎の生物がE組の担任になってしまうのだ。しかもこの生物、1年後には地球を破壊すると言っているのである。なんとかその前に暗殺を成功させなければならない。ちなみに国から支払われる成功報酬は100億円。地球の命運と巨額な報酬をかけ、生徒たちの奇妙な1年間が幕を開ける。少年が読むことを前提としたジャンプのなかにあって、暗殺という重いテーマを扱い、しかもその対象が(謎の生物とはいえ)まがりなりにも教師というのだ。

 また、主人公のひとりであり、暗殺対象でもある謎の生物「殺せんせー」も異色の存在。というのも、この「殺せんせー」、球体のような頭で数え切れない触手を操る「タコ」のような生物なのである。主人公に美形が揃う最近のジャンプ作品のなかで、これは異例の姿かたちだろう。しかしながら「殺せんせー」は高度な知能を持ち、マッハ20で移動でき、専用の武器でなければダメージを与えられないほどタフで、そのうえ驚異の再生力を持つなど、想像を絶する能力の持ち主。なかなかあなどれないキャラクターなのだ。

 さらに、作中に登場する松井優征お得意のブラックジョークも“ジャンプらしくない”要素のひとつ。たとえば、ネットで話題となっている前田敦子のAA(  ∵  )を、「殺せんせー」がマネてみたことで評判に。また、サブキャラクターとして登場する女性の暗殺者兼英語教師の愛称は「ビッチ先生」。最近では、スペインの教会にあるキリストの絵が素人の修復で台無しにされた事件を踏まえてか、不良キャラの顔がその絵になり「台無し」のセリフとともに登場。こういった随所にちりばめられたブラックジョークは見つけるのも楽しいのだが、ジャンプを読む少年たちに届いているのか、いささか心配な気も……。

 このように“らしくない”要素が満載の『暗殺教室』。しかし、その根底にあるのはしっかりとした「友情」「努力」「勝利」のジャンプイズムだ。暗殺成功という「勝利」を導くため、生徒たちは「友情」を培い、「努力」をしていくのである。――ジャンプ“らしくない”が、よく読んでみるとジャンプ“らしい”という、摩訶不思議な魅力たっぷりのこの作品。読んでない人は、第1巻を手にとり、話題に早く追いつこう。