【第21回】Kindleとうとう上陸! わたしたちにはどんな影響があるの? 「まつもとあつしのそれゆけ! 電子書籍」
更新日:2013/8/14
まつもと :ついに奴が来たのか……。
かべ :どうしたんですか、まつもとさん。遅れてきた厨二病ですか!?
まつもと :ええ、まあ……じゃなくて、Kindleですよ! Kindle!
かべ :あー……先月25日から日本でも電子書店Kindleストアがオープンして、3つの端末の予約が始まりましたね。もう2週間かぁ……。
まつもと :ちょうど前回の更新のあった直後でしたからね。あるイベントで壇上にいたのですが、アマゾンから突然メールが来て慌てました。2010年の電子書籍元年から2年以上経って、ついに最大最強のボスキャラが登場……。結構セール価格になっているタイトルはあるわ、KDP(kindle direct publishing/自費出版サービス)ももうスタートさせたわ、端末は3種類だすわ。しかも、iPad mini発表とWindows8発売のちょうど合間という絶妙なタイミングですよ。IT系記者の体力の限界を試しているに違いないッ!
かべ :まつもとさん、落ち着いて! ここは基本に立ち返って電子ナビらしく「読者にとってどうなの?」っていう話をしませんか?
まつもと :ハッ! すみません。そうだ、そうしましょう。
Kindleのここが気になる①「品揃えは?」
かべ :やっぱりまずはタイトル数ですよね。この連載でも折に触れて「紙の本よりも品揃えが少ないとやっぱり物足りない」という話題が出てきました。
まつもと :楽天koboが発表時のタイトル数を揃えられなかったということで消費者庁から行政指導を受けたこともあり、どうしてもそこに注目が集まりますね。
かべ :電子ナビでも「調達に苦労しているのではないか」という話題を取り上げたこともありました。(⇒「第5回 Kindleが日本に上陸しない理由とは?」を参照)日本の商慣習とフィットするのかというのが、その理由でしたね。
まつもと :半年前か。ちばさんに説明したのが懐かしいですね……。ところが蓋を開けてみると、Kindleストアは5万点以上でスタート。青空文庫も含まれてはいますが、他の電子書店と変わらない規模感です。これは正直、意外だったというところです。出版社の方にお話を聞いても、「そんなに数集まらないんじゃないですか」という反応が多かったし……(ちらっ)
かべ :わ、わたしはそんなこと言ってませんよ!(汗)
まつもと :どうしても大手出版社の人気作から調達する傾向が多い電子書籍専門のストアに対して、もともと紙の本の扱いと取引の幅広さがあるアマゾンはここでも強みを発揮したのかもしれません。
かべ :というと?
まつもと :出版社さんそれぞれは、他の電子書店と同じかあるいは少し慎重な取引にしても、そもそもアマゾンは紙の本での取引先が多いので、全体としては遜色がない数になったという風に感じています。もう少し様子を見る必要はありますが。
かべ :なるほど。
まつもと :あとはなにげに、独占・先行配信も規模感があります。こちら一部をアマゾンさんのページから抜粋したものです。
かべ :お、結構、新作・話題作が入ってますね。こんまり先生の『人生がときめく片づけの魔法2』もある! 部屋を片付けるとプロポーズされるそうですよ、まつもとさん。
まつもと :……。
Kindleのここが気になる②「本のお値段は?」
かべ :品揃えはOKということで了解です。さあ、お値段ですよ、お値段!
まつもと :がぜんやる気だなあ……。koboでポイントがたまると知ったときみたいですよ。じゃあ、これをみてくださいね。
かべ :おー、きたー! 70%オフ!
まつもと :他の電子書店でもディスカウントされていたりもするのですが、じゃあもう1ページみてください。
かべ :むむ、同じ値段かー。
まつもと :この2ページ、値段以外に決定的な違いがあるんですけど、わかりますか?
かべ :むむ……、あ! 販売者がアマゾンか、出版社かが明記されていますね。
まつもと :そう、そこなんですよ。以前、アマゾンはホールセールモデル(小売店が商品の価格を決める)を採用している、という話を紹介しましたが、いよいよそれも始まったということですね。
かべ :意外とあっさりこうなりましたねー。
まつもと :もちろん、個別の契約条件がどうなっているのか、というのは教えてもらえないので、一概にKDPの条件がそのまま採用されているとは言い切れないのですが、やっぱりインパクトあります。
かべ :お値打ちなのは良いことですよ、まつもとさん!