磯山さやか「南ちゃんに憧れて野球部のマネージャーになりました」

芸能

更新日:2012/11/15

 今春、『タッチ』の26年後の世界を舞台にした新作『MIX』の連載を開始した少年マンガ家・あだち充。待望の第1巻が10月に発売され、『ダ・ヴィンチ』12月号ではあだち充を大特集。

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 特集では、「南ちゃんに憧れて高校の野球部のマネージャーになった」という、タレントの磯山さやかをはじめ、小田真琴(女子マンガ研究家)、南信長(マンガ解説者)、磯部涼(ライター)、門倉紫麻(マンガライター)という、世代も性別も違う5人のあだち読みが集結! あだち作品を表す重要キーワードを元に座談会を行い、あだち作品の真髄に迫った。

「ヒロイン」のパートから一部を抜粋して紹介する。

磯部: 男の子って女の子に比べて成長も遅いし、恋愛のマンガとかドラマとか観るのってちょっと恥ずかしいじゃないですか。そんななかで最初に女の子の存在を意識したのが『タッチ』でしたね。小学生くらいの時。

小田: 恋愛マンガじゃなくて、野球マンガだから、って言いわけしながら読めますよね。

南: 僕は『みゆき』を読んでた時は高校生だったんですけど「どっちのみゆき派?」みたいな話で盛り上がりました。僕は妹派。

磯部: 僕は髪の長いほう。鹿島みゆき。

磯山: 私も、憧れたのは鹿島さんのほうでした。しっかりしているヒロインが好きなんですよ。あだち作品って最初にしっかりした女の子、あとからかわいらしい女の子が出てきますよね。で、男子はみんな、一度はしっかりしているヒロインに目がいく。男子ってこうなんだっていう勉強にもなります。

門倉: そうか、学べばよかったんですね!

磯部: どう見ていたんですか?

門倉: いや……私、南ちゃんが大嫌いだったんです。

磯山: (笑)!

門倉: 嫌いなはずなのに、南ちゃんのエピソードをいっぱい覚えていて。合宿で、料理がヘタな新田由加の代わりに勝手に料理を仕込むとかひどいよと……。同性にも人気がある、というセリフを読むたびに「そんなわけない!」って怒ってました。今思うと完全にひがみです(笑)!

南: 計算で南ちゃん「みたいに」してる人は大体女性に嫌われますよね。でも南ちゃんは、キャラとして天然というか、素ですごいってことになってるから。

磯山: そうそう。天然には勝てないんですよ。

南: まあでも優等生過ぎて僕も苦手だったんですけどね。ちょっとぐらいイヤな面があったほうがいいというか。

小田: うん、劣等感とか全然なさそうだし、母性の押し付けにもちょっと引いてしまって。新田由加の方が好きです。

磯山: あれ、みなさんそんな感じですか? おかしいな(笑)。私も現実にいるとは思ってないですよ! 野球部のマネージャーになったものの、南ちゃんみたいな扱いは一切されませんし(笑)。部活のかけもちなんて絶対無理なくらい忙しかった。ボールが当たってケガもしょっちゅうしてました。部員から文句を言われて「すみません」ってひたすら謝る日々。ものすごい男社会です。

磯部: 部員とつきあったりは。

磯山: ないですよ! 丸刈りが怖くて、最初泣いたくらい(笑)。

門倉: そんなにハードなんですね。南ちゃんも実は磯山さんみたいにがんばってたのかなって思ったら、許せる気分に(笑)。

磯山: すごく大変なのがわかったので、あだち作品に出てくるマネージャーたちはえらいなあと思います。『クロスゲーム』の大久保さんなんて、いつもにこにこして、ほんとえらい!

 座談会では他にも、ライバル、家族、ご近所、喪失と挫折、愛すべきワンパターンといったキーワードからあだち作品を論じている。

取材・文=門倉紫麻
ダ・ヴィンチ12月号「あだち充特集」より)