第32回『土屋礼央ネット制限生活2012~前編~』 土屋礼央

更新日:2013/8/6

「Rio電卓」もエロくて笑えます
「漫画カメラ」面白いですね

土屋礼央ネット制限生活2012~前編~』

iPhoneのゲームアプリに
プロ野球を題材にしたカードゲームがある。
最近話題の課金システムの無料アプリです。
「無料なので、誰でも安心して遊べますよー、
あ、お金払ってくれたら、簡単に強くしますけどね」
というシステムです。
最近、このシステムのビジネスが好調らしい。
TVCMも良く見かける。


今回はiPhoneアプリのお話です

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「へぇ~、CM打てる程、儲かってんだ。へぇ」

お得原理主義者の筆者は
「その広告費分、価格を下げれば良いじゃない」
とCMをバンバン打っている企業には斜め目線です。

アプリランキングでも上位にくる課金システム無料アプリを見ると
「はいはい、その手にはひっかかりませんよ」
と見て見ぬ振り
今まで、プレイする事も拒んできました。

しかし先日、僕がプロデュースした
無料アプリ「ダァシェリエス」がリリースになりました。
自分のアプリの
ランキングも気になる所で
なかなか上位に上がれない時には
「上位に入ってくるアプリの魅力を知りたい」
と次々に上位にランクインしている無料アプリをダウンロード。
そして遊んでみる。
その中の一つにあったのが最初に書いた
野球カードゲームアプリです。

ゲームを立ち上げ、
「お、これが課金システムって奴ね」
この手のゲームを初めてプレイ。
ちなみに課金の部分は
強いカードが出やすいガチャの購入チケット代金。

ガチャを一回引くのに
一回300円かかる。
しかしチケットは300円単位ではなく、500円単位。
500円では200円あまるので、
結果5枚分の1500円を購入したくなる仕組みです。

「なんて姑息なっ!」
少しでも、利益優先な部分を見つけると拒否反応だ。

と斜め目線のままプレイ開始。


チョー面白いんだね。

流石上位ランクインアプリ。
情報によると200万ダウンロードを記録しているらしい。
それだけの人がダウンロードしている事も頷ける面白さです。
勿論、十分無料の範囲で楽しめる。
とても優秀なアプリです。

ここで改めてお得原理主義者のスイッチが入る。
このまま無課金で遊び続けたら

制作者が「ムキー!」になるだろうな。

食べ放題のお店で、

「それ以上食べたら、お店が潰れますー!」
と言われるみたいでなんだか快感だ。

シメシメ、このまま、無料で楽しみ続けるぞ。

どんどん面白さにハマっていく僕。

気づけば、電車での移動中は勿論、
寝る前のベッドの中でも遊んでいる。

おかげで
次第にチームのレベルもアップしていき
上位カテゴリーで戦えるだけの戦力を揃えられる様になりました。
周囲に同じゲームをやっている人間がいたら
自分のチームを見せつけて自慢が出来るでしょう。

と、ここまでは順調でしたが
ここで壁にぶち当たる。

最高レベルのカテゴリーになかなか昇格出来ないのです。
無課金では、これ以上は難しそうです。

あと数枚、レベルの高い選手カードがあれば……。

一枚、300円か……。

初志貫徹の心が揺れ動く。
このボタンを押しさえすれば、レベルの高いカードが手に入る。

iPhoneの画面をじっと眺める僕。

たかだか300円じゃないか。
大人がなにウジウジしてるんだ。
高校生じゃあるまいし。

そういえば、今日の昼ご飯、株主優待券で済ませたな。
本来だったら700円くらいしてた筈だ。

明日もこれを続ければ
1500円使った事になる。
手元に1500円残る……。

そう思えば、この課金の1500円もタダみたいなもの……、

捉え方で何でもプラス思考に持って行けちゃう土屋さん。
考える時間が長がければ長い程
ポジティブ変換機能は優秀になる。


もう誰も僕を止められない。


クリック。

遂に人生初の課金システムで課金。
しかも1500円。

300円の有料アプリでも高いと思う僕が
1500円課金。

えぇい、そんな事はもうどうでも良い。
今は良い選手が手に入る喜びを祝おうじゃないか。

電車の車内で5回ガチャを引く。
なかには、有料ガチャなのに、レベルの低いカードが出て来る時もある。
あの時に車内で、急に天を仰いだのは、それが理由です。

課金のおかげで
数枚のレアカードを獲得出来ました。

これで上位進出の足がかりに出来そうです。

ちなみにこのゲームには
トレード機能というのがあり
必要とするならば、他のユーザーと
お互いのカードを交換出来るのだ。

課金で得たカードは、もちろんレアカード。

“○○選手あります”
とトレード掲示板に書こうもんなら

「○○選手下さい!○○カード5枚出します!お願いします!」
「○○選手希望です!本当に困っています(涙)
そちらの希望のカードを出しますので!」


なんだか王様になった気分です。

「ほほぉ、そなたはどの選手をくれるのかな、
場合によっては考えてあげても良いのだぞ」
レア選手カードに群がる他ユーザーの僕宛メールをニヤニヤしながら眺める。


なんて楽しいんだ。
(下品)

一番好条件を提示してくれたユーザーさんとトレード。
「ありがとうございます!」
ユーザーさんからお礼のメールが来ました。

ユーザーさんとの関係はこのメールのみ。
人柄も何もかも、このメールのみで判断される。
どうせなら、気持ち良い関係でありたい。

「こちらこそ!(^○^)」

普段、ほとんど返信メールなんかしない僕が
顔文字なんて付けて即レス。
やれば出来るじゃないか俺。

この他のユーザーとのやりとりがこのゲームの楽しさの一つ。
課金で獲得したレアカードがあるからこそ出来る楽しみです。

一度足を踏み入れると抜け出せないものです。

ある日
仕事が重なったのでしょう、どうしても身体が痛い。
これはマッサージに行った方が良さそうです。
地元のマッサージ屋さんは、60分6000円。

6000円か……。

カード20枚分だな。

駅の改札を出て、一旦立ち止まり熟考。

うちに帰って、ストレッチポールで自分で身体をほぐせば、
この6000円のマッサージ代が浮く
という事はタダでカードが20枚手に入るという事になるな……。

完全に危ないスパイラルに入った僕。

勿論、自宅に帰り、ストレッチポールの上でゴロゴロしながら、6000円課金。

どんどん有力カードを獲得する僕。
更に上位が見えてきました。
こうなると、欲しいカードもどんどん増えて来る。
お目当ての選手を持っているユーザーさんはいないだろうか?

トレード機能をチェック。

「○○選手あります」

いたっ。

すかさず、
「○○選手希望、こちら○○選手出せます」とメール。
すると早速返信が。

「メールありがとうございます。
現在、他の方から○○選手+αと言う申し出がありました。
上乗せ提案出来ますか?」

流石の交渉術です。
出来るだけ好条件でトレードしたいのは皆同じ。
ふっかけるぐらいが丁度良いのです。
本当に他のユーザーから提案が来ているのかどうかは解らないですが
まぁよい、どうしても欲しいカードだし、乗っかってみよう。
とはいえ、簡単に上乗せすると、
「まだ、いけるんじゃ?」
相手も足下を見てきます。

もうこれが限界ですー。的なメールをにしよう。

「了解です。なんとか○○選手+3枚なら出せます。
これが限界です。お願います(切実)」

数分経つ。

返信がこない。
駄目だったか?

もう一度メールしてみよう。
どうしても欲しいカードだ。

「いかがでしょうか? お願いします。もう一枚出しますんで!(願)」

「了解しました。交換しましょう」

「ありがとうございます! (^○^)」

「ちょっとこれから塾なので、帰ってからでも宜しいですか?」


相手は高校生だった。

土屋礼央36歳……。
色んな意味で落ち込む。


高校生とメールしている36歳。
これはマズい……

もう辞めよう……。

200万人ユーザーの中1000位になって喜んでいる場合ではない。

というか、最近、スマホ無しでは生きられない身体になっている気がする。
移動中はスマホをポケットにいれるどころか
常に手に持っている。
だって本当に便利なんだもの。
おかげで
飛躍的に外出中のストレスが無くなりました。
ネットが常に手元にある。
好奇心旺盛な僕にはピッタリです。

ネットが無い時間なんて考えられない。

地下鉄に乗れば、駅に着くなり、スマホを起動し、読み込み。
あぁ、電波が無くなるぅ。
まだイケルっ!
あぁ、無くなった。
おっ、駅だ、読み込み!
あぁ、電波がぁ……。

気づくとあっという間に目的地。

家に帰る。
とりあえず一服と、PCを立ち上げ、ネットニュースのチェック。
そこから気になるワードをクリックし、
リンクに飛んで、また気になるワードのリンクに飛ぶ。
効率良く、圧倒的な量の知識を得てるねぇ。
そうだ、最近は、これ買ったんだ。
PCモニターから出ているブルーライトを
PCメガネ着用で軽減出来てる俺って、
健康的ー!


うむむ……。

時代の波には乗っている気はしますが
波に乗っかっているだけではないでしょうか?
果たして、僕はその中でちゃんと自分の力で泳いでいるのでしょうか?

なんだかネットの進化とバランスを取る様に
自分が退化している気もして来たぞ。

そういえば、ちょうど5年前に
インターネットを2週間断つ実験をこのダ・ヴィンチで行いました。

あの時の実験も衝撃的でしたが
今は当時よりネットとの関わりは、よりディープです。

野球カードゲーム卒業を機に
再びネット遮断生活を始めても良いかも知れない。
自分を見つめ直す良い機会です。

いや、ちょっと待て、5年前とは環境も変わっている。


本当にネット無しで生きられるのか?

TwitterやらFaceBookが
自分発信の重要なツールとなっている。

実験期間は1ヶ月を考えていますが
その間にまったく発信をしないとなると


土屋礼央、死んだんじゃね?

と思われかねない。

マネージャーでさえ、Twitterで現在地を把握している位です。

こんな心配も時代である。

あまりネットをしない方には、
そんなにビビらなくてもと思うかもしれませんが、
ネット住人の我々にはネット断ちがどれだけのヘビーな事か。


カレー屋さんがルー品切れで営業しないといえないレベルと言っても良い。

ならば
ファミコン的にしてみるか?

みんな大好きファミコン。
子どもの頃、熱中するあまり
教育に良くない! 時間制限よ!
と家族会議で決まる家庭続出。

個人的には
ファミコンを買ってもらえなかった家
(以後FKI)
だったので、
ファミコン的時間制限にもなんだか憧れがあったので、
これなら楽しそうです。

先日Twiiterでアンケートを募った所
ファミコンは1日1時間というのが相場でした。

ならば土屋礼央の1日のネット時間も1時間にしてみよう。

時間制限がある事で、ファミコンに熱中。
だからこそ、思い出に強く残っているのかも知れません。

もしかしたら、ネットも制限する事で、
ネットの面白さが倍増して感じるかも知れません。

土屋礼央のネット1時間生活は11月1日より開始しています。
果たして、ネット依存在宅型ミュージシャン土屋礼央は、
ネット制約の中で何を思うのか?
はたまた震えがくるのか!?

実験レポートは後編で!
お楽しみに!

ネットを制限する前に
最後のプロ野球カードゲームで遊ぶかな。
安心してください、課金の無い
バッティングモードだから。

さぁ、打つぞ!

カキーン!

もう辞めよう……。

ではでは土屋礼央でした。


1時間用の砂時計を使って、計測します