ひとり飯は苦手、だけど嫌いじゃない。イシコさんが綴る世界グルメ紀行

小説・エッセイ

公開日:2012/11/25

世界一周ひとりメシ

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:イシコ 価格:615円

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「酢豚は好きだけれど、酢豚の中に入っているパイナップルが苦手なのと同じこと」というように、イシコさんは旅は好きだがひとり飯は苦手なのだそう。なのに、ひとりで世界一周の旅に出るとはなんという勇気! 尊敬の念を抱いたが、やはりひとり飯が苦手なイシコさん。店に入ろうか迷い行ったり来たり、店員に声をかけるタイミングを気にしたり、人見知りで優柔不断な姿が微笑ましく笑いを誘う。なんとも心が温まるグルメ紀行だ。

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30章からなる世界各国での食のエピソード。黒人の子供たちに囲まれて食べる西アフリカでの朝食、スペインで見つけた外国人が握るお寿司、マレーシアの美味しくないのに毎日通う店…。あたりまえなのだが、その国その国で味付けや食べ方が異なり、世界を知らない私にとっては驚きと新しい発見の連続。イシコさんの体験を通して知る異文化料理は好奇心を刺激する。本を読んでいる間、「さぁ次はどこで何を食べようか!」と世界を旅している気分になっていた。

中国で最後のひとり飯を終える瞬間、私も少し物寂しさを覚えた。まるで自分の旅が終わるみたいに。本を開いて目に飛び込んできた巻頭ページの世界中の料理の写真。読み始める前に、これからどんな料理がでてくるのかわくわくしていたことを思い出し、もう一度見返してみる。1枚1枚眺めながらイシコさんが体験したこと、考えていたことなど、いろんなことが蘇る。不思議なことに、自分が食べたかのようにその料理が愛おしく懐かしく思えるのだ。

そして、目の前の料理を味わうだけがご飯を食べることの醍醐味ではないということに改めて気づく。ご飯を食べる店の雰囲気、店の人や周りの客との出会い、眺める景色、その時に感じていること。イシコさんのひとりメシが物語る、そのすべてがご飯を食べることを豊かにしてくれるのだと。


私が1番驚いたのはスペインでのお寿司。お寿司をおかずにして白飯を食べるなんて驚きです!

寒い国で温かい朝食をいただく様子。なんだかこちらまでホッとして、むしょうにカフェに行きたくなった場面

イシコさんが滞在した国はこんなにたくさん! 世界旅行への憧れが強くなりました