表向きはギャグコミック。じつは幸福感あふれる究極の子育てマニュアル

更新日:2012/11/28

サムライカアサン 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:板羽皆 価格:400円

※最新の価格はストアでご確認ください。

サムライカアサンの「サムライ」ってなんなんだ結局、って感じではありますが(笑)。読んでいる最中も読んだ後もこれほど幸福感に包まれる作品ってそうないな、と思える、強烈にオススメしたいギャグコミックです。

advertisement

主人公は、伊佐木よい子。大阪のオバハン。いかにもなオバハンパーマでかっぽう着を着たイマドキあり得ない昭和風。後、1巻で登場するのは、よい子がベタ惚れしている特徴がなさすぎなお父さんと、ちょっとツッパッた高校生のひとり息子、そして息子のガールフレンドと、ほかちょこちょこ…って感じ。基本的にはよい子を中心とした一家の物語です。特に大きな事件が起きるわけでも、家族間でぶつかり合いが生じたり深刻な亀裂が生じるわけでもない。それなのに、笑いと幸福感が交互に大きく押し寄せてきます。ひたすらあったかい。

育児・教育を専門にしている立場からいわせてもらえば、本作はギャグコミックの顔をした「究極の子育てマニュアル」です。例えば、次の場面。
朝、息子のためを思ってつくった弁当を「いらん」と一蹴される。なんとか持たせるものの、おかずを忘れる息子。学校まで全力疾走で届けるも「ウザイ」「メシなんかどうでもええ」。そこで、よい子の口から出た言葉は、「あんたみたいなアホをなあ…」

ここで「ああ、よくある展開ね」と早合点しそうになるも、続く言葉は号泣しながらの「お母ちゃんは欲しくて作ったんやで!!!」。あっけにとられる息子。
そして、「大好きやで」「おいしいもんいっぱい食べや」と学校を去る。

こんな展開は序の口で、とにかくよい子のポジティブさと愛情が随所に光りまくり。気づいたら笑っているのか泣いているのかよくわからない状態に陥っていたというのは、きっと私だけではないハズ。

「◯◯しなければ子どもが△△になる」「子どもと十分なコミュニケーションを取らなければ□□に!」などのあおり記事や情報が飛び交う中、「ああ、こんな母親になりたいなぁ」「こんなオカンがいれば幸せだろうなぁ」と心をキラキラさせてくれる最高の癒しマニュアルを、ぜひ電子書籍でいつでも手元に!


弁当のおかずを忘れた息子のために全力疾走する母・よい子。「切腹するわっ!!!」のあたりが「サムライ」っぽい…?

たとえ自分が傷ついても、愛情をせきららに告白。見た目は完全に昭和のオカンなのに、か、かわいい…

「愛情って 最高の おかずやねんな」。こういうクサいセリフにだって、素直に感動できる