あなたにとって、「日本人」とはなんですか?

更新日:2013/2/6

ジパング (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:かわぐちかいじ 価格:540円

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人は自分の生きている時代しか生きられませんから(当たり前ですが)、決して見ることのできない過去や未来にロマンを抱くのは仕方がないかもしれません。

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物語の舞台は現代の日本、のはずでした。
しかし、突然の嵐に巻き込まれた海上自衛隊のイージス艦「みらい」の前に現れたのは第二次世界大戦中米軍によって沈められた戦艦「大和」でした。混乱する船員たちは戦闘に巻き込まれ、やがて自分たちが1942年6月4日-戦争真っ只中の太平洋上にタイムスリップしたという信じがたい事実を知ります。

なんとか戦闘を切り抜けた「みらい」の船員たちは海上に墜落した戦闘機の中に生存者を発見。命を救えば未来が大きく変わる可能性を知りつつ、副長の角松は迷わず人命救助を優先します。助けられたのは大日本帝国海軍通信参謀である草加という男でした。
さてさて彼を助けたことによって生じる波紋がどのような形で今後やってくるのか楽しみなところではあります。

草加のセリフで、「あなた方は確かに日本人だが、私と同じ日本人ではない」というところがありますが、このひとことがこの作品のひとつのテーマであるように思えます。

日本人、という定義は明確なようでいて実は曖昧であるということを示唆しているように感じさせます。普段は意識しませんが、国同士の繋がりが濃くなった現代ではやはり自分が「日本人」であるという自覚が昔より頻繁であるはずです。そんな私たちが考える「日本人」とは一体何なのか。少し堅苦しい話になりそうですが、国同士のつながりで生きていくであろう私たちにとっては大切な議題でしょう。ほかの国のことを知ろうとすることと同じくらい、自分の国のことを知ることは重要なはずです。興味はあるけど歴史の教科書を開くのが苦手という人はぜひ、過去へタイムスリップした角松たちの後ろについて、ドラマチックな展開やロマンを堪能しながら「今の日本」をつくった「これまでの日本」を覗いてみてはいかがでしょうか。


嵐の中突如現れた「大和」

タイムスリップという信じがたい事態に直面した角松

歴史を変えることの重さ

死の淵で出会った草加の運命とは?

背後に迫る当時の米国軍艦
(C)かわぐちかいじ/講談社