真実味溢れるシミュレーション。1年後に現実となるか

小説・エッセイ

公開日:2012/12/15

2014年、中国は崩壊する

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 扶桑社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:宇田川敬介 価格:616円

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中国という、日本にとって最も近く、そして理解できそうで、最も理解しがたい国。中国経済の急成長ぶりは、ここ数年でその絶頂を極め、世界各国への中国人観光客の急増ぶりを見ても、連日のように流れる国際ニュースを見ても顕著です。

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困難に陥るヨーロッパ経済を始めとして、その救い主のように、もしくは沈黙の占領者のように、中国資本は世界のありとあらゆる国に介入し、その存在を大きなものにしています。にもかかわらず、著者が指摘するのは、中国の崩壊はもう内部から始まっているということ。尖閣諸島の一件のように、著者はこうした1年間に10万回もあるというデモを、内部の亀裂の兆しと見ます。

人民的にも、領土的にも拡大しようとしている中国。その拡大政策のなかで、当局は巧みに国内の不満感情や反抗分子のエネルギーを海外に向けようとしている、と指摘します。国内の不満を海外へと矛先を変えさせるのが、中国の常套手段だと。ジャーナリストであり、弁護士として一企業において中国とのやりとりを一切引き受けたという経歴がある人物として、非常に明快で、素人にもわかりやすい、中国の国としての「人柄」を客観的に観察している本書。その細部に渡る分析から、中国崩壊までそれほど時間がないと結論つける論法には説得力十分です。

確かに、どの国のバブルも弾けていったように、中国のそれもある日突然終わりが来るのかもしれません。その崩壊後のシミュレーションは読み応え抜群。日本企業のように知的財産や技術力がない中国のもろさを指摘するあたりは、日本人の対中国のライバル意識を微妙にくすぐってくれます。近い将来、中国は、著者の言うとおり崩壊してしまうのか、はたまた新たな財力でさらなる成長をみせるのか…。ビジネスマンにもオススメの1冊です。


本書は簡潔に中国の成り立ちを説明した後、崩壊のシナリオを描きます

バブル崩壊を遅らせるだけの力が今の中国にはある。でも…

もちろん、シュミレーションのあと、日本にどうかかわってくるかも推測