「なんでAKB48って人気あるの?」冷めた目で見ているあなた、答えはここに

更新日:2013/1/29

AKB48白熱論争

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:BookLive!
著者名:小林よしのり 価格:862円

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もう何がおもしろいってね。いい年したオジサンたちが、「ぱるる」とか「まゆゆ」とか女の子をあだ名で呼びながら真剣にアイドルを語ってることですよ。いや、ばかにしてません。ほんと、断じて。すごいな、って心底思ったんです。あ、いかん。どんなふうに書いてもばかにしてるっぽくなる。でもちがうんです。ちがうの。ちゃんと、説明しますから。

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最初にAKB48を認識したのは、あっちゃんだったと思います。駅のホームから見えるでっかい看板にモノクロ(たしか)の彼女の写真があって、前田敦子という名前をそこで初めて知りました。え? だれ? そんな有名な子? と思ったときには戦略の上に乗っていたんでしょうね。興味ないよ、知らないしどうでもいい、そんなふうに思っていたはずなのに気付けば、少なくとも10人くらいはメンバーの顔と名前が一致する。細かいシステムはわからないけれど、選挙があることも、それが総選挙とじゃんけんとふたつあることも知ってる。気づけば、ヲタでもなんでもない友達と、「誰が一番好き?」なんて話題つなぎにする程度には浸透してた。

なんだろう、これ。って思ってたんですよ。すごいな、どうして私、AKBのことこんなに知ってるんだろう。積極的に情報収集したことなんて一度もないのに。そんな人、きっと日本全国にうじゃうじゃいるはず。くだらないよね、わたしAKBのことなんて知らないし、ばかみたい、そんなふうに斜にかまえている女の子だって主婦だって、前田敦子や大島優子のことは知っている。アンチでさえもはや、AKB48の掌の上、そんな気がするのです。だから、現象としてのAKB48にとっても興味がありました。そんなときに話題になったのが本作で、すぐさま飛びついて買っちまったのでした。

小林よしのり、中森明夫、宇野常寛、濱野智史。実際に選挙にも行ってる4人の識者が徹底的に語るAKB48。決して、「誰推し」という話だけをしているのではありません。その証拠に第2章のタイトルは「AKBで変わる政治・メディア・宗教」、そのなかには「ジャニーズ的戦後民主主義を突破しろ!」「オウムとコギャルとAKB」などというサブ項目もあります。第4章は「日本アイドルの倫理と資本主義の未来」で「ピンク・レディー・チルドレンが「女の時代」をつくった」とか、「制服による統制が個性を生む」とか、AKB48をとっかかりにして、その要素から社会の変化や時代を論じているのです。いやはやこれが本当におもしろかった!

 

一方で、さしこの恋愛騒動・HKT異動の話なんかも話題になっていたりして、それもまた楽しい。あっちゃん泥酔事件をこの4人で語ってほしいなぁと切望しております。まあ、冷静・客観的な洞察眼とヲタの情熱と愛情にあふれた眼差しとが両方入っているので、全部が全部、「なるほど」と思えるかというとそうでもないのですが、むしろその愛ゆえの白熱も読みどころのひとつ。売れている、台頭してきている、ことにはやはり理由がある。興味ない、ばかみたい、で切り捨てるんじゃなくて、一度その現象としての彼女たちをとらえてみるとものすごく引き込まれると思います。


目次を見ての通り、内容はアイドル論から社会論までさまざま(第3章、第4章より)

とりあえずみなさん、熱意の大きさはそれぞれですが、4人での総投票数はけっこうなもの

頻繁に登場する「ガチ」という言葉。単なる若者言葉と呆れるなかれ、時代を象徴するキーワードなのです

結婚詐欺で話題となった木嶋佳苗事件ともからめたりして
(C)小林よしのり、中森明夫、宇野常寛、濱野智史/幻冬舎