不倫、セフレ、ネット恋愛…いまどきの恋愛にみる自己愛型モンスター女たち
公開日:2013/1/13
やめられない女たち
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader | 発売元 : 幻冬舎 |
ジャンル:小説・エッセイ | 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy |
著者名:真野朋子 | 価格:507円 |
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どこかつきはなしたような客観性と距離感を感じさせながら、恋愛に依存する女たちの姿をゲームのように描いた短編集。不倫、セックスフレンド、マリッジ・ブルー、年下の彼、ネット恋愛…さまざまな恋の断片はどこか「サンプル」めいていて、リアルな痛みはさほど感じず、ほぼアンハッピーエンドな結末の物語には、ある種の教訓的寓話テイストすらある(しかも電子書籍独得のデジタルな均質感が、サンプル感をより増幅させている感じも…)。
この作者の周りに、実際にこういう女性がいたとは限らないけれど、なぜだか読み手には「こういう女いるよな~」と思えてしまうのは不思議なものだ。男の読者にはどこかで植え付けられたステレオタイプの女性イメージなのかもしれないが、女の読者にはどこか肌感覚で受け止められるリアル感があるのでは? 実際、女は同性である「女」をよく観察しているし、同時にとても手厳しい。多くの女たちは、おそらくこういう女たちの末路を客観的に読むことで、実はちょっとだけニヤリとするんじゃないかと思う。
それにしても、登場する女たちが揃いも揃って「私自身は幸せか? 満足か?」の観点ばかりなのが、ある意味すごい。もはや男性の存在は記号でしかなく、「相手のことを大事に思う」という恋愛というか人付き合いの基本的感情が欠落している。本当の意味での相手不在の恋愛依存。自分が本当に傷つかないためのバリアなのか、コミュニケーション不全時代の自己完結なのか、その姿はうっすら病的でもあり、現代の女たちはかくも自己愛型モンスターなのかと驚きつつも、一方でそれを自然に受け止めている自分に二度驚くといった感じ。果たして彼女たちに共感するのか反目するのか…自分テスト気分で読むのもおもしろいかも。
目次より1
目次より2
本文より