奇妙奇天烈摩訶不思議。見れば分かるさ、前人未到のヨウスケワールド!
公開日:2013/1/14
冒頭から非常に申し上げにくい事なのですが…。その…なんというか…
―――この体験はもう、レビューなんか読まずに本編を読んだほうが早い(ダダァーン!
…レビュアー失格ですか。ライター失格ですか。人間失格ですか。引き篭もりで貧乏ですか。いやはや、ごもっとも。
しかし、何をいわれようとも甘んじて受け入れますとも。なにしろ本作には「あらすじがどうだ」とか、「このキャラクタービジュアルがどうだ」とか、そんな些細な事を超越した魔力があるのですからね。
かの大友克洋と同時代に、ニューウエーブの騎手と謳われた高橋葉介。独特な描線による蠱惑的な世界は、他の追随を許しません。諸星大二郎と双璧をなす“特異漫画家”といってもいいくらいです。本作は10人のちょっとフシギな“お姫様”達による短編オムニバスであります。ヨウスケワールド全開! ニューウェーブと評されたのは、実に30年前ですが、すこしも古びていません。むしろ、攻めてます。
開けてビックリ、のっけからセリフがない。話によってはコマもなかったりします。中には、これはマンガなのか? と思うような作品も…。アバンギャルド!
…しかし、眼が離せないんですから、全く不思議です。「なんじゃこりゃァ!?」と思った次の瞬間には、泥沼の真ん中に腰までドップリとハマっている様な感じです。
ちなみに、バシッと止め絵で魅せる作りは、紙芝居を意識した作風だそうですが、これがまた尋常でない中毒性です。瑞々しくて、ふくよかで妖しい筆致と相まって、なんとも言い難い作品集に仕上がっております。
もちろん、ご期待を裏切らぬ美男美女、少女に怪物、ドロドロ死体が登場します。あの紳士も…
さぁさぁ、いいから読むんだ!
出たー! 名物ドロドロ!
出たー! 異形の者ども!
出てたー!?
(C)高橋葉介/ぶんか社