本当にあった物語だと思って読んでみて。大切なことが見えてくるから

小説・エッセイ

公開日:2013/2/10

星の王子さま

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:サン・テグジュペリ 価格:483円

※最新の価格はストアでご確認ください。

ずっと前から読んでみたいと思いながらもなかなか読めずにいた『星の王子さま』。
本は手にとり開いたときが読むべき最高のタイミングなのだろう。今の自分の心がこの本を求めていたかのように、星の王子や王子が出会うともだちの言葉がひとことひとこと胸に染みこんでいった。

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王子が旅の途中で、賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れや、数字ばかり数えるビジネスマン、命令ばかりを出す王様などに出会う。そういう大人になっていないつもりでも、自分にも彼らと似通うところがある気がして、はっとした。いつのまにか私も現実社会の中で大事なことを見失っていたのかもしれない。

その後、王子はキツネと出会いともだちになる。キツネの言葉はどれも印象深かった。
「きみがぼくをなつかせたから、ぼくたちはお互いを必要とするようになるんだ。きみはぼくにとって世界でただひとりのきみになる。ぼくはきみにとって世界でただひとりのぼくになる…」「きみがきみの薔薇のためだけに使った時間が、きみの薔薇をあんなにもたいせつなものにするんだよ」。

私は世界の中のちっぽけな存在だけど、世界でたったひとりでも大切に思ってくれて大切に思える人、ものがあればそれでいいんだと、そう思えた。

そして、これは東日本大震災の40日後に翻訳されている。訳者のあとがきには「愛する相手とのどうしようもできない離別を経験したことのあるすべての人に、この翻訳をささげます」と記されている。王子はヘビにかまれていなくなる前に「どこかの星にある一本の花を愛しているなら、夜、空を見つめて優しい気持ちになれる。すべての星に花が咲くんだ」という言葉を残していく。
私は亡くなった祖父のことを思った。あの空のどこかにいるから空を見上げて優しい気持ちになれる。
「ここに見えているものは見せかけでしかない。もっと大切なものは目には見えない…」
この言葉の意味を自分なりに理解できたとき、胸に優しくて温かいものが広がっていった。読めば読むほどに純粋で柔らかい心に戻っていくようだった。

いつのまにか大人になってしまったあなたにこの本を贈りたいと思う。


大切にしてきたもの、大切にしてきたこと、大切にしてきた人、そのすべてが愛おしく思えました

自分がどれだけ見せかけにこだわって縛られていたかに気付きました。大切なことは目にみえない。この言葉を大切に生きていきたいと思います

この物語をそんなことあるわけないと思って読んでしまったら、何も感じることはないと思います。訳者の言うように「ほんとうにあった」と思って読んでこそ、この文学のメッセージに気付くのだと思います