彼氏はオッパ(お兄ちゃん)で、トマトは果物!? 等身大の韓国が見えてくる

公開日:2013/2/21

へぇー!韓国ではそうなんですか?

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 中経出版
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:かおり 価格:800円

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韓国はよく、「近くて遠い国」であると言われる。最近では、K-POPや韓流ドラマなどをきっかけに、韓国文化に親しみ、憧れにも似た親近感を覚える人たちも増えてきているのではないだろうか。日本と韓国は距離的には近くても、実際に生活してみると想像もつかなかったような文化に遭遇して、へぇ! と驚くことがたくさんある。

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元々韓流ファンだという双子のかおり&ゆかりさんが書いたこの可愛い絵のたくさんつまったコミックは、韓国の文化と人々との出会いのなかで、2人が驚いたことや新しく学んだことがエピソード形式で綴られており、現代韓国の様々な文化や習慣を知るにはうってつけの本だ。

たとえば、結婚式の文化の違いや年上の人とお酒を飲む時の作法などから、韓国の受験の現状や占い、迷信、恋人の呼び方、韓国でよく使われる「ウリ(私たち)」の意味…などなど、日本の人たちが韓国に旅行に行ったり、韓国の人と交流したりするなかで、きっとぶつかるであろう、等身大の「?」に答えてくれるのだ。

私は、韓国に計2年間住んでいたことがあるのだが、この本を読みながら、「そうそう!」と初めての韓国での出来事を思い出した。友だちみんなで割箸(!)を使ってホールケーキをつついたこと、軍隊帰りの男の子に教えてもらった「軍隊ラーメン」の食べ方など、韓国の人々と交わったからこそ知ることのできた、現代韓国の文化である。

一方で、「へえ、そうだったんだ!」とはじめて知ることもいくつもあった。たとえば、韓国の名前の名付け方の話。自分の氏名の名にあたる部分に、一族で同じ漢字(「回し字」や「行列字」という)を使うケースが多いのは知っていたが、代ごとに名前の下の字、上の字と交互に付けるというルールがあるのは知らなかった。これも、血筋を大事にする韓国ならではの文化だ。

外国文化の紹介本というと、その国への愛がことさら滲み出ていたり、必要以上に日本文化との「違い」を強調していたりして、押し付けがましい感じを受けてしまうことがある。しかし、この漫画に出てくるエピソードは、どれもとても爽やかな読後感をもたらしてくれる。その理由は、韓国文化と出逢って、感心したり、驚いたり、ときにはおろおろしたりしながらも、肩肘を張らず、韓国という異文化を自然体で受け入れようとしている、双子の柔らかくて前向きな姿勢なのだろうと思う。

ありのままに受け入れつつも、決して受け身ではなく、自分が生まれ育った国の文化と比較して相対的に見て、考え、そしてスポンジのよう吸収していくことの大切さ。タイトルにもなっている「へぇ! 韓国ではそうなんですか?」は、そんな異文化に対する姿勢を表現しているのかもしれない。

韓流に出会って、韓国に興味を持ってこれから旅行で訪れる人も、ぜひガイドブックと一緒に読んでおいて欲しい本だ。そして、韓国でもこんな風に「へぇ! 日本ではそうなんですか?」という本が出ればいいのになぁ、と願ったりもする。私たちの国が、「近くて近い国」になるように。


韓国では恋人関連の「記念日」がたくさんある

韓国語の「ウリ」は日本語の「私たち」よりもっと広い包容力のある概念。韓国語を勉強して、自然に「ウリ」が使えるようになったとき、自分が少し韓国の人たちに一歩近づいた気がした

これが軍隊式インスタントラーメンの食べ方だ

漫画には、こんな写真入りのページもある。1エピソードは4、5ページで完結するので、iPhone5でもさくさく読める

韓国で名前に付ける回し字の付け方。韓国人の名前によく出てくる漢字は、日本ではほとんど使われないものも多い