【「第14回えんため大賞」大賞受賞作】 考えるな! バカになれ!!

ライトノベル

更新日:2013/2/27

四百二十連敗ガール1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン
ジャンル:ライトノベル 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:桐山なると 価格:450円

※最新の価格はストアでご確認ください。

2013年現在、ほぼすべてのライトノベルが美少女もので、なんか世界は美少女を中心にぐるぐる回っているのだとすれば、まさに本作は直球ど真ん中ですよ。ただし、球速はバカみたいに速いけどね。

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まず設定がおバカ。舞台となる聖シンデレラ学園は教員から女子生徒にいたるまですべて美女で構成されている。そして、そこに群がる男子には過酷な受験戦争が待っているという設定。しかも、そういう構図をにおわせるとか、偶然とかにしないで、理事長が確信を持ってそういう学校を作りましたよ、と名言しちゃっているところがすごい。

さらに、主人公のハルくんのどこまでも正直なモノローグがおバカ。実はモテモテなんだけど、本人が朴念仁みたいなテンプレとは一線を画している。

本作は「第14回えんため大賞」の受賞作なのですが、さすが大賞受賞作品。王道でありながら違うアプローチで来たなというところでしょうかね。

もうひとつ。ライトノベルの読み方として、(メイン)ヒロインから読み解くという方法があります。なぜかって? 物語の構造を説明するのに、主人公がどうした、という書き方よりもヒロインに何々されて、という書き方の方が適しているからですよ。

そういう意味では、本作のヒロイン、毒空木さんって主人公のハルに冒頭で告るほど大好きなのに、ハルからはっきりと振られ、振り向いてもらうためにハルを振り回すというニュータイプですよ。

ライトノベルのマーケティングをすると、「学園」「現代」「ラブコメ」なら外れません。でも、それでコンペに勝てるかというと、それは難しい。本作からもそんなにおいを感じたので、てっきりゲームシナリオのライターさんが書いているのかな、と思い込んでいました。でも違ったのね。どこまでもおバカで、単純で、軽くて、でも気になる小説です。それを自覚的に公募小説として書き上げた著者はすごいよ。


この扉絵で、どうしてあの惨劇が予想できるだろう…

ヒロイン、毒空木さんキレてます。でも、こんなセリフ吐くヒロインって、初めてですよ

なにこの怪しい校名(笑)。この後に続く学園の設定を考えた時点で著者の勝ちですね

ひとり爆走する毒空木さんのおしゃべり

こうして、ハルは全女子生徒に告るツアーをすることに…