そうか、優勝のカギは、彼の“マネジメント力”にあったんだ!

更新日:2013/8/5

なでしこ力

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:佐々木則夫 価格:1,080円

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なでしこジャパン、ロンドン五輪出場権獲得おめでとう! いやー、ほんと、よかった~。
予選突破にまずは日本中がほっとしている今、せっかくイギリス在住なのに、どうして来年のオリンピック、女子サッカーのチケットを入手しなかったんだ、自分のバカバカ~、とおおいに悔やんでいるマクギネスです。

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といいつつ、実はわたくし、ワールドカップ決勝戦(イギリスBBCで生放送された)で初めてなでしこの試合を見た、という、なんとも自慢にならない「にわかファン」。でも、そんな者ですら涙を抑えきれなかったほどの感動を与えてくれたあの試合…。この『なでしこ力』を読めば、彼女たちのあの「最後まで諦めない力強さ」の理由がわかるかも、と、さっそくダウンロード。

本書では、2007年になでしこジャパンの監督に就任した佐々木則夫氏による、ワールドカップ直前までの各大会での戦略、実際の戦いぶり、なぜそういう戦略を立てたか、また、それを実現していくにあたって、選手たちをどのようにマネジメントしていったか、が語られています。

読んでみてわかったのは、なでしこたちから「ノリさん」と、親しみをもって呼ばれている、この監督こそが、すごいということ。

特に印象的なのは、彼が、相手が女性だからといって見下すことなく、だからといって、むやみにすべて男性と同じことをすべきだと決めつけないこと。むしろ、男女の体や脳の機能と使い方の違い、といったことまで研究、理解し、それにあった指導方法を考えていくところ。また、選手たちに対し、上から目線ではなく、あくまでも対等な「横から目線」で接しているというのも、できそうでいてなかなかできない指導者のあり方です。

「指導者がやるべきことは、まず選手の長所を見抜き、それを認めているんだというメッセージを本人に伝えることだ。プレー中のミスは叱られたから減るというものではない。大好きなサッカーを『もっとうまくなりたい』と思って本人が努力するからこそ、ミスは減るのだ」

監督のこの言葉は、スポーツの世界のみならず、マネジメントをする立場にある人には、とても参考になるはず(失敗をなんでも部下のせいにして叱ってばかりいる上司がいる方は、ぜひ読ませてやってください!)。

さて、本書の最後はこう綴られています。
「今、選手たちは、本気で世界一を目指すという決意に満ちている。その決意があるからこそ、彼女たちはさらに自分を高め、仲間を信じることを諦めない。僕も決して諦めない。」
「さあ、一緒に世界一になろう!」

こんな風にいわれたら、選手たちだって頑張らざるを得ないはず。そして、有言実行、なでしこジャパンは世界一になりました(この書籍が発行されたのは2011年1月、ワールドカップ開催の前)。

結果を知ってから読むと、ますますこの言葉にぞくぞくしちゃいます。

「選手たちと一緒に」という言葉がたびたび登場する。「一緒に」という感覚を持っている指導者だからこそ、彼はなでしこたちの強い信頼を得ているにちがいない

第9章「則夫力」には選手や関係者からの、監督へのコメントが寄せられている