世のB級好きの方々に襟を正しておすすめするホラーコミック
公開日:2013/3/30
私の肌に呪いの顔が (1)
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : menue株式会社 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:古賀新一 | 価格:324円 |
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栄えあるB級ホラー映画の星と輝く逸品に、『バスケットケース』という極めつきの駄品がある。
一卵性双生児として産まれるはずだった兄弟の、弟のほうは無事この世に生を受けたのに、兄は残念にも死産した。とご近所には体裁上言ってある。しかしほんとうは木の切り株みたいなフリークに生まれ落ちた兄は、バスケットケースに入れられ、弟を恨みつつ、ひそかに育っている。弟はこのバスケットケースをつねに持ち歩き、健全に生まれたやましさから、呪われたごとくあらゆる兄の命令を実行してきたのだ。
ところがある日、兄と弟が同じ少女に恋したことから、目をおおう惨事がおっぱじまる。おっぱじまるがCGをフル稼働してグロテスクなリアリティを発揮する根性も制作費も作り手にはなく、どう見ても中に手を入れて動かしているのが明々白々な兄ぬいぐるみの間抜け感は、どんな厳粛な気分も、情けない笑いと深い憂愁の底なし沼に引きずり込まずにいないのである。
本書もそうしたタッチと、とてもよく似た相貌をもっている。私はこのような作品が大好きだ。もっとも、人生と真っ正面から向き合って、時代の荒波を乗り切ろうと獅子奮迅の格闘をしている人なんかにはむかないかもしれない。きっと怒り出す。
まず話がつながっていない。映画で最初のシーンと次のシーンで人物の位置が逆になってたりするのを「つながってない」などと言うが、それと同じ意味だ。
マリと由美の二人姉妹。由美の誕生日にやってきた友達のさゆりに、いたずら好きのマリはイボガエル入りのスープを飲ませてしまう。異常なまでにカエル嫌いのさゆりは半狂乱になってなぜか体にイボイボができてしまい狂死する。このイボから出た血を浴びるとその人にもやはりイボが現れる。しかもそれは人面そうでもあって「ケケケケケ」とか笑ったりする。なぜカエルなのに「ケロケロケロ」と笑わないのかは説明されない。
さゆりの怨念を背負って、由美はこのあとさまざまな怪事件に巻き込まれていく。さゆりの墓をあばき、みずからも人面そうにとりつかれ、母に襲われ、沼に引きずり込まれ、マッドドクターに出会い、もうてんやわんやである。笑える。笑える。すばらしいくだらなさである。
「つながってない」のはストーリーばかりでなく、由美の住んでいる町もかなりでたらめなんである。どう見ても住宅地にある家からさまよい出たところに鍾乳洞がある。そこで迷ってるとおばあさんがやってきて、外へ出るとそこは田んぼの真ん中の農家だ。場違いなところに沼があり、ご都合に崖もある。
B級好きの方にははぜひぜひおすすめする。読んで腹が立っても責任は負わない。
さゆりはイボガエルを食べさせられて…
カエル=イボイボは執拗に迫ってくる
なんだろうこれは(笑)
さゆりは死んだはずなのに
由美の喉にも人面そうが
(C)古賀新一