「結局ニーチェの“ルサンチマン”って何?」→答えは近未来SFギャグ漫画にあり

公開日:2013/4/11

ルサンチマン(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:花沢健吾 価格:432円

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ええ、文学と哲学にかぶれていた時代がありましたとも。とりあえず「ブルジョア」とか「ルサンチマン」とか言っとけ、みたいな。で「結局、ルサンチマンって何?」って聞かれると、「ニーチェがいってる反社会的なアレだよ、ごにょごにょ…」とうまく説明できなかったりして。まあ、そんな一種、甘美な響きを持った言葉「ルサンチマン」がズバリ、タイトルとなっているコミックがありまして。近未来SFギャグ作品です。文学とか哲学とか難解とか、そんな小難しい内容は一切ありません。

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主人公は、30歳・独身、実家住まい、誰がどう見ても不細工な男。仕事も冴えない。当然モテない。そんな彼が、友人に勧められてハマってしまうのが、バーチャルリアリティオンラインゲーム。ギャルゲー。あちゃー…。
そしてこのギャルゲー、近未来のシステムと最新式AIプログラムとによって、まさに美少女が“そこにいる”かのように体験できるのです。重ねてあちゃー…。

性欲を持て余していた主人公。ご想像のとおり、そこでハーレムを築き…とはいかないところが、本作のおもしろいところです。不細工な彼は「いざ!」とリビドーを解放して美少女に好き勝手やろうとするのですが、ことごとく悲惨な結果を招き。現実世界とほぼ変わらない境遇に「大金を払ってゲームを買った意味がない」と怒るもただ虚しく…。

決して「ブ男がハーレムを築く?」なんて期待して読んではいけません。スパーンとカウンターを喰らいます。アンチさんにはオススメ。1巻から、いい意味で青くさいピュアさが隋所で炸裂します。意中の美少女には、気になる人がいます。リビドーを押し殺して応援に徹しなくてはいけないなんて。ああ、哀れな主人公。

そうそう、主人公にはひとつ、魅力ともいえるものがありました。それは「行動力」です。社会で辛酸を舐めてきた彼は、内に「怨恨」とも言い換えられる膨大なエネルギーを溜め込んでいます。まさにルサンチマンのかたまり。これを燃焼させて、とにかくエネルギッシュに動きます、叫びます、泣きます。
あなたもきっと、2巻以降の展開が気になるはず。


主人公の危機感と焦燥感。こんな魅力なしの男に主人公がつとまるのか、と思うでしょう?

「最近よく涙が出る。」…こういったところに泣けてしまうんです

誘われて、友人がゲームの中に築いたハーレムへ

ゲームなんてただの現実逃避…だが、ついに吹っ切れる。「本日をもって(現実の)女をあきらめましたっ!!!(涙目)」

運命的に入手したゲームに飛び込み、純真な少女と出会う。純愛が始まる…?
(C)花沢健吾/小学館