小説を読みながらミステリーが読める! そしてその先には…

公開日:2011/9/21

死体を買う男

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:歌野晶午 価格:648円

※最新の価格はストアでご確認ください。

みなさん、お早うございますコンニチハ今晩は。
衝動買いが大好きな中國卓郎です。とは言え(当然)死体を買ったことはゴザイマセン!

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衝動買いと言えば、ちょいと前にiPad2を衝動買いしたのですが電子書籍、中でも特にコミックとの相性が抜群で、快適な読書生活を送っとります。モチロン、小説等を読む際にも何ら不自由はありません。でも活字系の書籍だったら、スマートフォンにて外出時にそれこそ文庫本と同じ感覚で取り出して読む方が好みだったりします。

そんな訳で本書もあらゆる時間、あらゆる場所で読み進めました。その結果、あらゆる時間、あらゆる場所で悩む事になりました。と、言いますのは…僕はレビュー用の作品を読む際に「こんな事を書こうかな?」なんて多少のアタリを付けながら読んでいます。で、本書はいわゆる「ミステリー物」なのですが、中々に特殊な作品でして…いや別に小難しい内容な訳ではありません!

ただ、なんと言いますか…「本書を余す事なく楽しんで戴く為の秘訣」が容易に浮かんでしまったのです。それは「前情報を一切遮断する」これに尽きるんじゃないかと…って…

こんなにレビューに不向きな作品はありません!
レビュアー泣かせ、否っ!
もはやレビュアー殺しですよこりゃ!

ですがここは歯を食いしばって「逃げちゃ駄目だ!」と繰り返しつつ、なんとか作品の「醍醐味」を、核心に触れることなくお伝え出来ればと…

本書は劇中劇ならぬ「作中作」の形式になっています。「白骨鬼」と言う名の小説を知った主人公のストーリーの合間に、小説「白骨鬼」が丸々挿入されているのです。この為、主人公の動向が気になっているのに「白骨鬼」の方のストーリーが展開され、今度はそちらに夢中になった頃、絶妙に良い所で主人公サイドの話に戻される…なんて具合に、読者は作者(歌野さん)の術中にまんまとハマる事になるでしょう。ま、それがやがて快感に移り変わるでしょうから問題なしです!

ただ個人的には、もう少し「そっち側」の分量を増やして欲しかったかなぁと…そして全体を見渡してみると、多少の中だるみ感は否めない気がします。しかしながら主人公の「行動理念」が気になりつつ、同時に「白骨鬼」の主人公とその友人の設定が非常に魅力的で「最後の最後まで」秀逸に計算された作品に仕上がっています。

「白骨鬼」には作者名がない!? それを知った主人公は…

突然、同性愛についてやたら熱く語りだす主人公。でもちゃんとした理由があります (C)歌野晶午/講談社