無力な猫にされた元魔法使いの対決相手は、強力な闇の大魔法使い！

あっ、猫が魔法使いルックスしてる。これは買いだな、と表紙に陥落され手に取りました『魔法猫のギー』。帽子のつばでは隠しきれない大きな瞳で正面を見据えるギーのイケ猫ぶりは、本編に入ってからの、少し間抜けだけど芯の強い彼の強さを良くあらわしています。

世界の舞台は美の国といわれるダルハイン国。魔法使い達を信頼していた王のもとで、人々と魔法使いは幸せに過ごしていました。
しかしある日突然、空から光が降ってきて、世界中の魔法使いが猫に変化させられるという呪いを受けます。そして王は政治に対する態度を激変させ、始まるのは魔法使いへの弾圧。悪夢のような世界に一変してしまいます。この世界はどうなってしまうのか、猫に変化させられ人間としての理性すら失った魔法使い達の運命は？ それらは全てかつて東の大魔法使いと呼ばれ、しかしいまはその力の大半を失ってしまった、魔法猫のギーにかかっているのです。

「本当の魔法とは」「人の心にかけるものなのだ」という信条を抱いているギーは、猫化のせいでほとんど魔法を使えませんが、その心の持ちようで周りの皆を励ましていきます。魔法使いへの弾圧により、幼い頃からの夢だった魔法使いへの道か死かを選ばされ、迷った少女の決心の後押しをしました。魔法が使えないため、役人達からいいように殴られ蹴られていたギーが、少女を救うために残された微かな魔法で皆をあっと言わせた所はまさに爽快！　思うように魔法が使えない魔法使いで、しかも猫だけど、「きっとギーならやってくれる」と期待を抱かせる彼こそ、まさにこの世界の希望の星。

しかし、諸悪の根源である闇の大魔法使いは一癖も二癖もある相手です。なにせ出会った人間を木に変えてしまったり、かと思えば踏んでしまった花に涙を流して謝り治したりと、判断基準が一筋縄ではいかない様子。ギーと彼が出会ったとき、果たしてどんな対決がうまれるのか。ギーとその仲間達との冒険から目が離せません！