劣等感やトラウマを武器に、戦え!

更新日:2013/4/17

アクセル・ワールド01

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:合鴨ひろゆき 価格:599円

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あああ。好きな人が学校を欠席して、放課後プリントを届けに行くようなこと、したいなあ――私がふと、そんな妄想を口にすると、友人は「でも全てがデジタルの時代になったらそんな文化は廃れちゃうよね」と、笑った。ああそうか。ネットワークが発達すればするほど、人の行動は変わる。そしたら、人の感情はどう移り変わっていくのか。

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『アクセス・ワールド』が描いた未来、2046年はニューロリンカーと呼ばれる携帯端末を用いることで生活の多くが仮想ネットワーク上で行われている。だが、人は今までの感情を忘れていない。むしろ「感情」が彼らを現実世界へと縛りつける。

だから、この時代でもいじめはなくならない。同級生にいじめられているハルユキは、現実世界で強い劣等感を抱え、そこから逃げるようにネットワークの片隅でゲームにのめりこむ陰鬱な日々を過ごしていた。

しかし、ある日突然、校内一の美女「黒雪姫」に声をかけられ、謎のソフトウェア「ブレインバースト」をもらう。それは、人の思考を1000倍に加速するという驚くべきアプリケーションだった。この能力さえあれば、人はどんな不可能をも可能にする。喧嘩に勝つことはもちろん、試験やスポーツで優秀な成績を収めたり、ギャンブルで大金を得たりすることもできる。だが、その力を保持し続けるには、このソフトウェアを持つ者と戦い続けなければならない。

「ブレントバースト」は、欲望、強迫、恐怖に切り込み、デュエルアバターを作り上げる。仮想世界で現実のトラウマや劣等感をアバターという武器に変え、敵と戦いを繰り広げていくのだ。劣等感で作り上げたアバターで戦い抜いた先にあるもの――それは、本当の成長であり、真の強さなのだろうか。

多種多様な絵柄を巧みに使い分け、リアルとバーチャルが交錯する世界を表現した本作品は 、人間の美しい思いも、醜い感情も鮮やかに描き出している。


現実世界で感じる強い劣等感や嫉妬(第1巻)

学校一の美女、憧れの黒雪姫と急接近で感じる胸の高鳴り(第1巻)

幼なじみとの微妙な距離。お互いの感情をぶつけ合い、分かり合おうとする(第2巻)

ハルユキはバーストリンクでの戦いを通じて、強さの本当の意味を知る。(第2巻)