【このマンガがすごい! 2013にランクイン】青春のエネルギーをフンカさせろ!

公開日:2013/5/4

ぼくらのフンカ祭

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:真造圭伍 価格:432円

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高校生、それは中途半端な存在。高校時代は中学から続く中等教育の後期にあたりますが、義務教育からは外れます。それなのに、高等教育機関である大学のように「学生」扱いではなく、中学同様「生徒」扱い。つまり、主体的に研究する身ではなく、教えてもらう立場。にもかかわらず、「もう半分大人なんだから」なんて自立を促されたりする。

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まだ子どもなのか、半分は大人なのか、もう大人としてみなされるのか。彼ら彼女ら自身が自分の立場に戸惑っているのではないでしょうか。ただでさえ多感な時期。そんなやり場のない鬱積したエネルギーをフンカさせろ! もっと本気を見せてみろ。本作は全国の高校生たちにそう迫っているようです。

本作は、男子高校生2人の物語。主人公は一匹狼タイプで、なんとなく社会や周囲に対して言葉にならない不満を持っている富山。そして、友人でお調子者でモテたい盛りの桜島。彼らが授業を受けていると、窓から見える山が噴火し、おとなしかった街は一気に観光地として賑わうことに。被災をまちおこしに利用する。なんてたくましい。あげくには、「文化祭」にかけて「フンカ祭」なんていう街をあげてのイベントが催されることになり…。それでも、富山はいつものように「つまんね」と言い、桜島は女の子のことばかりを考えている。

青春ストーリー特有の汗クサさがなく、だからといってサッパリともしていない。それなのにとても有機的で雄大なスケールの本作には、ちょっとほかの青春コミックでは味わえない爽快な読後感があります。

とにかく腹ペコな2人。周囲に与えられるばかりなのは「自分たちが求めるものとなんか違う」と気づき、腹を満たすため、本気になってまさかの“大きなこと”を計画。クライマックスでは、リアルでやれそうだけど、絶対にできない非日常的なことをやりきってしまいます。

あとがきに、本作の魂が詰まっているように思いますので、最後に紹介させてください。単巻モノなので、ぜひ何度も読みなおしを。

「高校の時にできた友達とは、今でもたまに会っています。
死ぬまで続くであろう友情を描きたかった。
友達にしか分からない言葉、思い出、そういうのを大事にしたいです。」


どおん。それでも富山はいつものように寝ています

自宅では温泉が湧き…

富山お気に入りの静かな場所は…

今ではこうなり…

イベントの案出しを求められて、テキトーに「フンカ祭とか」と言ってしまったことから、街の様子は一変します。後悔先に立たず
(C)真造圭伍/小学館